星空の魅力伝え続け アマ天文家 酒井さん(水沢)追悼展 宇宙遊学館 写真パネルで功績しのぶ【奥州】
2月に72歳で亡くなった奥州市水沢東大通りのアマチュア天文家、酒井栄さんを追悼する写真展「酒井さん、素敵な星をありがとう」は、同市水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれている。酒井さんが撮り続けた天文現象や天体などの写真を紹介し、星空の美しさを市民に伝えた功績をたたえている。
酒井さんは、小学校時代に天文に興味を持ち始め、大人になってからは同市水沢で電気工事業の会社を経営する傍ら、同市水沢黒石町に私設天文台を整備し、毎日のように通って天体観測を続けた。さまざまな天文現象の画像は岩手日日新聞など地元紙に提供し、紙面を通じて読者に宇宙や星の魅力を伝えた。同館を指定管理するNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター役員、日本宇宙少年団水沢Z分団リーダーなどを務めた。先月28日に病気のため亡くなった。
追悼写真展では、酒井さんが同館に提供した天文現象や天体の写真など約20点を展示。うち2024年5月に撮影に成功した太陽フレアで放出された強い電磁波によって発生した「低緯度オーロラ」を紹介し、ピンクや紫色に見える低緯度オーロラの美しさが分かるよう3枚のパネルを掲示した。
アンドロメダ銀河やさんかく座銀河など私設天文台で撮影したものや、地元紙に紹介された酒井さんの記事なども並べた。この中では酒井さんの知人の天文愛好家の計らいで、14年に火星の近くにある小惑星の一つが「Sakai Sakae」と命名されたことも紹介している。
同センターの大江昌嗣理事長は「低緯度オーロラなどは簡単に撮れないもので酒井さんの傑作といえる。残した成果は未来の子どもたちにつながっていくと思う」、同Z分団長を務める同館の亀谷收館長は「Z分団には結成当時から運営に協力してくれた。東北で五本の指に入るといっても過言ではないアマチュア天文家。大変感謝している」と故人をしのんだ。
写真展は今月17日まで同館2階セミナー室で、その後は館内の別の場所で行う予定。火曜定休。問い合わせは同館=0197(24)2020=へ。
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