一関・平泉

磐井橋 陸閘完成 一関 市街地浸水防止へ

磐井橋右岸に設置され試運転が行われた陸閘ゲート。増水時に橋の両端を閉め切ることで磐井川からの越流を防ぐ

 国土交通省岩手河川国道事務所は、一関遊水地事業に伴う磐井川上流改修の一環で、一関市の中心市街地を流れる磐井川に架かる磐井橋に陸閘(りっこう)を整備した。堤防より低い位置にある橋の両端をゲートで閉め切ることで堤防と同じ役割を果たすもので、増水時には河川からの越流を防ぎ、市街地を浸水被害から守る。

 JR東北線磐井川橋梁(きょうりょう)から上流区間の堤防は、1947年のカスリン台風、48年にはアイオン台風による水害で大きな被害を受けたのを機にそれまでの川幅を約3倍に広げて築堤。72年に見直しが行われた北上川の改修計画に照らし合わせたところ高さが不足し、安全性が低下したため改修工事が進められている。

 対象区間は左岸(山目側)1・6キロ、右岸(一関側)1・5キロの総延長3・1キロで、約2メートルの堤防かさ上げや拡幅、樋門の集約など全体の約9割を整備。磐井橋はかさ上げした際の道路の勾配や、架け替え工事に伴う長期間の通行止めが市民生活に及ぼす影響などを考慮し、橋の両端にゲートを設けて増水時に閉鎖する陸閘方式が採用された。

 2024年5月に着手した工事は両岸へのゲート設置作業を終え、19日深夜には橋の上を通る県道一関平泉線を車両全面通行止めにした上で右岸ゲートの試運転が行われた。

 ゲートは全長17メートル、高さ56・1センチのアルミニウム合金製で、橋上流側のコンクリート擁壁に併設した格納部から下流側にスライドして道路を閉鎖する仕組み。試運転では手動によるスライドと路面降下を約12分かけて行い、ゲートの下部と側面にそれぞれ設けた水密ゴムと路面などとの間に隙間が生じていないか確認と微調整が繰り返された。

 工事を担当する同事務所防災課では「26日までの工期内に関連する市道整備などの環境整備を終え、終日片側交互通行の規制を解除する」としており、25年度は引き続き右岸側の上の橋上流部で関連する市道改修などが予定されている。

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