シャワーで心身「ほっと」 北良、消防関係向け支援 大船渡山林火災【北上】
医療用ガスの製造・販売などを手掛ける北上市和賀町の北良(笠井健社長)は、大船渡市の大規模山林火災で、消火活動に当たった消防関係者向けに簡易シャワーテントを用いた支援を行った。能登半島地震の被災地支援などで培ったノウハウが生きた形で、同社では今後も経験を生かして未来の災害に備える姿勢を示している。
同社は東日本大震災以降、災害対策に力を入れており、現地での被災地支援を行ってきた。2020年からは東京都のベンチャー企業「WOTA」と連携し、水処理装置を内蔵した循環型のシャワーテントを開発。昨年発生した能登半島地震の避難所支援などに活用している。
同社社員らは大船渡市の要請を受け3月4日に現地入り。福島県の消防署員らが詰める旧日頃市中学校体育館にシャワーキット2基を設置した。限られた休息時間の中で入浴ができず、寒空の下、屋外の水飲み場で頭を洗っていた署員もおり、温かなシャワーですすや泥を落とせるようになったことで、喜びの声が多く聞かれたという。
数々の被災地を見た経験から「災害のたびに新たな課題が生まれるが、経験から次につなげることはできる」と語る笠井社長。今回の山林火災では被災者も支援者も14年前の震災の経験を生かした冷静な対応ができていたとする一方で、火が住宅地にも及んだり停電が起きた時の対応、避難先となる他自治体との連携など、多くの課題も見えたという。
ボランティアや防災士に実践的な災害支援を教える「防災の学校」を設立する構想もあるといい、「過酷な環境で働く支援者へのケアの重要性を実感した。被災地で得た経験を生かして、包括的な災害対策を実現していく」と先を見据えている。
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