モダンさと古き趣融合 祭畤温泉かみくら 特別感味わう宿に 25日新装オープン【一関】
リニューアル工事を進めてきた一関市厳美町の温泉旅館・祭畤温泉かみくらは、25日にグランドオープンする。館内は古きよき温泉宿の雰囲気を残しつつ、現代的なデザインを融合させ快適性を追求。客室は7室限定と「特別感」を前面に出し、大自然に囲まれた静かな空間で優雅なひとときを提供する。
かみくらは、コウミ観光産業(同市)が前事業者の経営破綻を受けて2008年に営業を開始し、「美人の湯」ともいわれる柔らかな肌触りの温泉が人気。24年1月にイベント企画・運営などを担うニア(仙台市、木皿譲司代表取締役社長)が事業承継した。
奥州市出身の木皿社長は、全国でサービスを展開する中、地元にも貢献したいとコウミ観光産業の社長に就任。事業承継後の同年3月に新体制で営業を始め、25年1月から完全閉館してリニューアル工事を進めてきた。
30~50代の女性層やインバウンド(訪日客)をターゲットに、自然と調和した静けさを売りとする高付加価値型の宿泊施設を目指し、老朽化が進んでいた歴史ある宿の趣を残しながらリデザイン。
各客室は白、赤、紫、青などイメージカラーを設定し、それぞれに個性を持たせた。7室のうち1室は、南部鉄器など設置する工芸品を含め特に高級感のある特別室とした。浴場はリニューアル前の形状を生かしつつ、女性脱衣場にフィットネス機器を備えるなどした。
併せて料理部門を一新し、栗駒山麓で採れた旬の食材を使った料理に加え自家焙煎コーヒー、オリジナルのハーブティーなどを提供。ニアが着物ブランドの販売店でもあることから、館内に上質の着物を用意し、宿泊客に自由に着用して非日常を体感してもらえるようにした。
3月26日にプレオープンし、関係者らが宿泊。今月25日のグランドオープンに向け、7日に同温泉ホームページや各旅行サイトで予約受け付けを始めた。ニア執行役員で同温泉マネジャーの官野陽太さん(34)は「人口減少で観光需要が変化する中、地方の価値を再提示し、新しい滞在の形をお客さまに示していく。『自分をととのえる旅』として楽しんでいただければ」とした上で「今後は農家や地元の職人との連携を視野に、地域経済の循環を生む宿泊施設としたい」と話している。
宿泊料は1泊2食付きで3万5000~5万円。食事付きの日帰り入浴にも対応する。詳細は同温泉ホームページ(HP)で確認できる。
