非正規品 コースターに 展勝地・さくら染めハンカチ 裂き織り技術とコラボ【北上】
北上市の北上展勝地の桜で染めたハンカチを使い、裂き織りの技術でコースターに生まれ変わった新商品が誕生した。淡いピンク色と柔らかな風合いの商品で、桜の時期を迎え季節に合った商品として話題を呼びそうだ。
開発に関わったのは、いずれも北上市内の企業・団体で、さくら染家・和の衣さとう(佐藤敏孝代表)と就労継続支援B型事業所「多機能型事業所ito」(藤村千紗管理者)。双方の商品を取り扱う株式会社展勝地(軽石倫史社長)が仲立ちとなり、新たな魅力を加えてアップサイクルされた新商品が生まれた。
コースターは、桜染めを施したタオル地やレースなどの生地を使ったハンカチを材料にしており、12センチ×11・5センチと11センチ×10・5センチの大小2種類を製作。和の衣さとうが通常販売している桜染めしたハンカチのうち、染めむらが出ていたり、折り傷や縁のほつれなどがあって正規販売できない商品をitoに引き渡し、itoの利用者がハンカチを切ってから横糸にして織り機で織り上げてコースターに仕上げた。商品は1点ごとに微妙に色合いが異なるのが特徴だ。
展勝地の担当者が運営する展勝地レストハウスで販売していた商品を眺めているうち、両者がコラボすれば魅力的な商品ができるのではないかと考え、佐藤代表(74)と藤村管理者(47)を2月に引き合わせたのがきっかけ。和の衣さとうには、10年余りの間に正規販売できないハンカチが段ボールで2個分ほどあり、扱いに困っていた。そこに新商品の話が舞い込んだことから、とんとん拍子で話が進み新商品の開発につながった。
和の衣さとうの「さくら染めハンカチ」は、観光名所となっている北上展勝地の桜の枝を主原料とした染料で染め上げており、数々の賞に輝いている人気商品。佐藤代表は「十分に手間がかかっているのに売ることができずに10年以上も眠っていた商品が、よみがえったことが素晴らしい。展勝地の桜で染めた商品なので、手に取って展勝地や北上に思いをはせてもらえればうれしい」、藤村管理者は「素晴らしい商品を素材に利用者が丁寧な仕事で手掛けてかわいらしくなった商品を届けられることがうれしい。目の届く場所に置いてもらい、一年中、北上の春を感じてほしい」と話している。
大小約170枚を限定製造。価格は税込みで小が1100円、大が1320円で、展勝地レストハウスで取り扱っている。問い合わせは同レストハウス=0197(64)2110=へ。
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【和の衣さとうのさくら染めハンカチ】1999年に製造を開始。開花に近い時期に風で落ちた展勝地の桜の枝を収集。カット、天日干しして盆ごろまでに乾燥させる。乾燥した枝をお湯で煮出して取り出した色素液に、草木の染料を混ぜ合わせるなどの工程を経て作られた桜色の染料で染め上げたハンカチ。
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