啄木の人生 視覚化 盛岡・渋民 記念館新装オープン
盛岡市渋民にある明治時代を代表する歌人・石川啄木(1886~1912年)を顕彰する石川啄木記念館の大規模改修工事が終了し、啄木の命日の13日、リニューアルオープンした。啄木の人生を紹介する壁面展示やアニメーションなどが新たに登場。市玉山歴史民俗資料館を移転併設し、啄木を育んだ玉山地域とのつながりをひもとくことができる。
記念館は1986年に現在地に、玉山歴史民俗資料館は77年に巻堀小学校隣接地に開館。市は施設の老朽化などを背景に地域要望を踏まえ、玉山地域の発展や文化継承を担う施設として約9億1100万円を投じて記念館を改修、資料館を増築する形で整備を進めていた。

記念館の常設展示室は、中央部分にアニメーションで啄木の人生や古里を視覚的に学べる映像コーナーがある。壁面には中学校時代の答案用紙や「一握の砂」刊行時に渋民の友人に出した手紙、最後のイラストレターなど実物資料が年表と関連付けて展示され、啄木の人生を想像しながらたどることができる。
企画展示室も設け、一角には約1万冊の啄木関連蔵書などがずらりと並び閲覧・検索することができる。藤原安生館長(61)は「啄木の言葉を通してその人生をたどり、啄木の魅力を感じられる展示になっている」と語る。
このほか記念館に多目的トイレ、授乳室を新設するなど施設のバリアフリー化を図り、資料館は玉山地域の自然とそこで暮らす人々の歴史文化を撮影した映像資料を新たに制作した。
同日は記念式典が行われ、関係者ら約100人が出席してテープカットや渋民小学校4~6年生16人による啄木作詞の同校校歌の合唱、地域に伝わる日戸神楽保存会の権現舞でリニューアルオープンを祝った。
内舘茂市長は「啄木が過ごした玉山地域の魅力が広く発信され、地域の歴史文化を後世に受け継ぐための施設として大いに活用してほしい」と式辞を述べた。啄木のひ孫真一さん(60)も出席し「啄木を知らない人、幼い子たちでもアニメがきっかけで新たにファンが増え、次の世代に継承されるとうれしい」と話した。
開館時間は午前9時~午後5時。毎週月曜休館。
電子新聞momottoで紙面未掲載写真を公開中