奥州、平泉観光拠点に 「ITSUMU」25日開業 旧衣川荘 市が民間譲渡
奥州市衣川日向の旧国民宿舎サンホテル衣川荘を改修した「奥州・平泉温泉旅館ITSUMU(いつむ)」は、25日にオープンする。4タイプの客室42室と地元の温泉を活用した浴室、レストランなどを備える。同市の民間移譲後、建物の改修に3年余りの歳月をかけた。旅館を経営するリベラ・ホテルズ&リゾーツの永森豊隆代表取締役は「奥州市の南玄関にあり、世界遺産で有名な平泉町に隣接しているので、東北観光の拠点となるよう、利用客に楽しんでもらえる施設運営に努めたい」と期待を込める。
名称のITSUMUは「衣川の歴史やお客の旅、地域と文化を紡ぐ」との意味が込められ、漢字では「衣紡」と表記する。旧衣川荘の本館部分(6階建て、延べ床面積約6000平方メートル)を活用し、2022年に改修工事に入ったが、資材高騰や配管の全面入れ替えなど工事内容の見直しと設計変更などにより工期を延長。オープンは一時24年8月としていたが先延ばしされた。
同社は21日、同市と平泉町、施工業者、報道関係者向けの説明会・内覧会を現地で開催し、旅館の概要を説明して内部を公開した。倉成淳市長は「県南地域の観光促進につながるものと大いに期待したい」、平泉町の菅原幹成副町長は「中尊寺や毛越寺に近く、旅行者に楽しんでいただける施設になるよう期待する」と述べた。

3~6階の客室は、床面積36平方メートルのスタンダード30室とバンクベッドルーム5室、同82平方メートルのスイート1室、同55平方メートルのスーペリア6室の計42室で、宿泊者数は最大149人。このうちバンクベッドルームはテレビを置かず、代わりに大型スクリーンで映像を楽しむことができる。
1階の浴室は、男女別の風呂と露天風呂付きの家族風呂を設け、同市前沢の前沢温泉・舞鶴の湯の温泉を活用。2階のレストランは4人掛け37卓を備える。
衣川荘は旧衣川村が1971年に開設。同市が引き継ぎ運営していたが、老朽化や経営悪化などを理由に2020年9月末から休業し、22年7月に同社へ無償譲渡した。
宿泊料は1人(1泊2食付き)税抜き2万6000~3万5000円。問い合わせは同旅館=0197(52)3311=へ。