北上市 取得意向 ツインモールプラザ 運営、公募で民間へ
北上市は16日、市などが出資する第三セクター・北上都心開発(佐藤恒雄社長)が経営危機にあるとして、同社が大部分を所有し管理運営する大型複合施設・ツインモールプラザ(同市本通り、新穀町)の土地と建物を取得し、公募によって民間企業に運営を任せる意向を明らかにした。同社と地権者の所有分をすべて購入することで東西両館全体を市の所有とする考え。購入費用は9億円余りを見込んでおり、市議会9月通常会議へ関連議案を提案する方針だ。
同日開かれた市議会全員協議会の中で、市が示した。
市などによると、ツインモールプラザは、新型コロナウイルス禍に伴う売り上げの減少や物価高騰による販売管理費の増大、借り受けたコロナ資金の返済、事業承継に伴うリニューアルへの投資などを背景に、2019~23年に5期連続で経常赤字が続き、債務は14億円超に上っている。
債務返済が困難となり24年12月に金融債務の延期を金融機関団に要請した。支払い猶予は今年5月末までの半年間となったが、市は抜本的な経営改善が困難と分析。施設には東館にスーパーや企業オフィス、西館は市保健・子育て支援複合施設hoKkoが入っているほか、路線バスターミナル、大規模駐車場もあり、市民生活や地域経済に密接に関わる機能が集中していることから、市は運営会社の経営破綻による機能停止を避け、テナントの事業や雇用の継続を確保するため施設を購入し早期に再生計画を実行する必要があると判断した。
市が示した再生方針案には、▽将来にわたる施設の活用▽市民生活・市内経済への影響の低減▽財政負担の拡大抑止と経済効果の創出▽所有・運営関係の抜本的刷新―を掲げている。市は北上都心開発に対し、ツインモールプラザの所有や運営事業から撤退するよう要請し、同社は14日の取締役会で市の再生計画を了承した。
市は施設管理に不動産を一括で賃貸借するマスターリースと呼ばれる方式の採用を想定し、10月以降に切り替わるよう取り組む。これに伴い市に代わってテナント募集や管理、運営などの業務を代行する民間企業を公募することとし、関連するコンサル経費などとして約5000万円を28日の市議会臨時会議に提案する予定。
この記事の詳報を岩手日日紙面または電子新聞momottoでご覧いただけます。