温泉施設で産後ケア 県内初、来月から 奥州市
奥州市は、2025年度に産後ケア事業を拡充する。6月から市内の温泉施設を活用した日帰り産後ケアを県内で初めて実施。24年度に始めた宿泊施設での日帰りケアの受け入れ枠を増やすほか、対象となる赤ちゃんの上の子どもについて一時預かりなども行いながら、出産後に安心して子育てができる環境づくりをさらに充実させる。
同市は、産後5カ月未満の母親と赤ちゃんを対象に、18年度から産後ケア事業を開始し、昨年度までに訪問、宿泊、日帰りの各ケアに取り組んでいる。うち宿泊と日帰りは23年から総合水沢病院(水沢大手町)で行っていたが、昨年6月から日帰りにプラザイン水沢(水沢佐倉河)、水沢グランドホテル(水沢東町)の宿泊施設を加えた。
昨年度の産後ケア利用件数は、日帰りが366件で前年度の248件から大きく増加、訪問は218件で10件増、宿泊は47件で14件増。
市によると、希望者が増え、宿泊は1カ月待ち、日帰りは同病院が1カ月待ち、宿泊施設が3カ月待ちの状況が続いており、25年度の事業拡充で利用しやすさを高める。
今年度は、4月からプラザイン水沢の受け入れ枠を月2回から週1回に増やし、開設当初から週1回で行っている水沢グランドホテルと合わせ、昨年度の62件から最大99件までの利用に対応する。
今年6月から同市水沢佐倉河の温泉施設・薬師堂温泉で始める日帰りは、月1回の開設で1日1組を受け入れ、今年度は10組を予定する。初回は来月19日に行う。
産後ケアを利用する母親から「上の子どもを連れて参加したい」との要望が寄せられていることを受け、日帰りケア利用時に上の子を保育施設などに預ける際の利用料を助成する。1回当たり5000円を上限に、最大4回まで利用できる。
市健康増進課は「他県でも例の少ない温泉施設での日帰りケアを行い、温泉入浴が心身回復に高い効果が期待できることから、産後のリフレッシュできる環境を提供したい」としている。
各ケアは利用無料。宿泊は通算3回まで、日帰りと訪問は同7回まで利用できる。