連載小説「いけころし~伊達男捕物帳」

2020年6月10日付
第三話「孤船上の殺人」(1)

 時折吹く冷たい風に揺られた黄色い葉が、ひらひらと宙を舞い、やがて万五郎の足元に落ちた。 季節は晩秋を迎え、冬の気配がもうそこまで近づいていた。 四半刻(約三十分)、万五郎は田…