連載小説「いけころし~伊達男捕物帳」

2020年6月17日付
第三話「孤船上の殺人」(2)

 玄爺の治療の甲斐あって、船頭は意識を取り戻した。名を藤一といい、齢四十を過ぎたところである。 藤一の話では、犯行は突然だったという。 その夜、藤一は馴染みの客である梶新右衛門…