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「君はロックを積まない」~ロックバランシング、始めました②

 休日はもっぱら石を積んでいます。この体験記を読んだ同僚から「何かあったの?」「大丈夫?」と心配されています。確かに、冬の川原を一人ウロウロし、しゃがみ込んで石をいじっている様子は、はたから見ると怖いかもしれません。でも、自分にとってロックバランシングは、最近よく耳にするマインドフルネスのようなもの。例えるならば禅やヨガの瞑想、あるいはサウナでの「整った」感覚でしょうか。どんなに熱く語っても“君はロックなんか積まない”と思いながら、今回も懲りずにロックバランシングの魅力を紹介します。【デジタル編集部・菅原祥】

「映え」スポットを探して

 インターネットや本で国内外バランサーたちの作品を見るたび感じていたのが「背景」の大切さ。雄大な渓谷や美しい湖畔、海岸をバックにした石のオブジェは見る人を魅了します。そこで今回は「映(ば)え」をテーマに場所探し。石がゴロゴロあって、きれいな水、緑もしくは紅葉も…、で思い付いたのが「滝」です。近隣エリアに有名な滝も複数ありますが、当然ながら大半は人里離れた山の中。野生動物との遭遇に気を取られる場所では、ロックバランシングに集中できません。事前に一関市公開型地理情報システム「いちのせきeマップ」(PC版https://www.sonicweb-asp.jp/ichinoseki/)でクマ出没情報をチェックしたり、何カ所か下見したりして、同市大東町猿沢地内の「湯王滝」に決めました。

▲湯王滝(一関市大東町猿沢地内)

 国道456号から脇道に入り、300メートルほど進むと小さな鳥居が見えます。そばに民家があるおかげで、何となく安心感も。滝つぼの前に下りると、土台にできそうな岩や、手頃な大きさの石がたくさんありました。まずは細長い石を拾い、一つ、また一つ立ててスマートフォンで撮影。限りなくシンプルな造形でも、こけむした岩や落ち葉、滝の背景効果で雰囲気のある写真になったと思います。

▲「滝を眺める女性」に見えるような気も…
▲自然の背景効果で雰囲気のある写真に

 調子が出たところで少し大きな石を逆三角形(高さ約25センチ)に立てて、さらに2段上積み。くびれ(重なる石同士の接点が少ない状態)こそロックバランシングの見どころ、醍醐味と言われますが、そこそこ表現できた…かと。ただし最上段はもっと欲張って、くびれ強めの石を選ぶべきでした。まさしく「後悔先に立たず」。

▲逆三角形の「くびれ」がポイント
▲石と石の接点はできるだけ小さく
自分なりのテーマ、楽しみ方を

 せっかく足を延ばしたので、もう1カ所。岩手日日にも毎年掲載される「かじかの里復活事業・石磨き大会」(2018年の記事→ https://www.iwanichi.co.jp/2018/08/12/219972/ )の会場、同町大原字岩脇地内の砂鉄川へ。地域の皆さんが清流化に取り組んでいるだけあって、水も石もキラキラ輝いています。

▲砂鉄川(一関市大東町大原字岩脇地内)

 こちらでは、今回のもう一つのテーマ「小さな石を挟んで立てる」ことにチャレンジしました。石と石の間に小石を挟むことで、上下の石のバランスを取りやすくなったり、くびれが強調されたりする効果があるそうです。実際にやってみると、この小石選びが難しい…。何とか立てられましたが、物にするまで時間が掛かりそうです。おまけとして、大きいサイズの石(上段は高さ約35センチ)を組み合わせた習作の写真も付けておきます。

▲小石を挟むテクニックは予想以上に難しい
▲大きいサイズの石を組み合わせた習作

 さて、3回目のロックバランシングでは、テーマやイメージをもって石と向き合うことの大事さを感じました。何の趣味でもそうですが、初心者は技術やアイデアの「引き出し」が少ないので行き詰まってしまいがち。長く続けるためには自分なりの目標設定、楽しみ方が必要でしょう。

 そんなこともあって今回から、ロックバランシングと音楽の融合を試行中です。山中ではクマよけも兼ねてスマホで音楽を流し、川原ではワイヤレスイヤホンで聴きながら…というスタイルをとっています。合わせて、言わずと知れたロックバンド「ザ・ローリングストーンズ」にちなみ「ザ・バランシングストーンズ」というハンドルネームを使うことにしました。

 さらに、東京・自由が丘を拠点に活動する多国籍バンド「ザ・凱旋門ズ」から、この連載のテーマ曲も届きました。岩手県奥州市出身のメンバーが企画内容に共感したとのことで、さっそく動画に使わせていただいています。

 

 ますます深みにはまったというか、引っ込みが付かなくなってきましたが…、雪が積もる前に行けるだけ行ってみようと思います。県内でロックバランシングをやっている、作品の写真があるという方は、デジタル編集部( momotto-support@iwanichi.co.jp )までぜひご連絡ください!

momottoメモ

 いつの日か、古里の美しい風景に映える作品を…。岩や石の上に絶妙なバランスで大小さまざまな石を立てたり、積んだりしてオブジェを創作するアート「ロックバランシング」にはまったデジタル編集部員の体験記です。50代前半、不器用な男のささやかなチャレンジを、長い目で見守っていただければ幸いです。《不定期連載》

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