奔走!リクエスト取材班

病院、上から見ると「夢」?

上空から見た県立磐井病院(中央左側)と南光病院【磐井病院提供写真を一部加工】

 「県立磐井病院と南光病院の建物は、上から見ると漢字の『夢』の形になっている」という情報が舞い込んだ。地図サイトの航空写真を拡大してみると、確かに「夢」に見えなくもない。ただの偶然か、意図したものか。早速、この“ミステリー”を調べてみた。

 一関市狐禅寺の磐井病院は300を超える病床を有し、救急患者の受け入れなど高度先進医療を担っている。一方の南光病院は精神科医療の基幹病院として地域に根差す。磐井病院はかつて市街地中心部にあったが、同市真柴にあった南光病院と共に2006年に現在の場所へ新築移転した。建物は、南側が磐井、北側が南光という配置。南側から見た外観は大きな曲面を描いており、モダンさと温かみのある雰囲気を感じさせる。改めて写真を眺めてみると…、南光病棟が「夢」の“草かんむり→わかんむり”に、正面玄関付近から磐井病棟までが“夕”の部分に見えてくる。

 病院建設当時、事務的な取りまとめを担当した磐井病院の小笠原秀俊事務局長に話を聞いた。設計コンペには3社が参加したが、上空からの見た目のデザインには評価対象外だったこともあり、当初はまったく話題に上らなかったとのこと。しかし、工事完了後に航空写真を見た職員の間から「『夢』のように見える」という声が聞こえてきたという。

 設計を請け負ったのは東京都に本社がある横河建築設計事務所。担当した和田雅彦さんに真相を伺った。単刀直入に「『夢』をあしらったものですか」と尋ねると、「残念ながらそうではありません」との答え。和田さんは続けて「当初提案したものは現在の形と少し違っていて、プランニングの中で南光病棟の形が変わっていった」と話した。近隣住民らが話題にしていることを伝えると、「地域の人たちが親しみを持てるようなデザインを目指していたので、うれしい」と語ってくれた。

 「夢」の形は偶然の産物だと判明したが、調査のきっかけとなった動画や周辺取材を通じて、住民、関係者らが航空写真から「夢」を見いだし、地域と両病院に特別な思いを寄せていることが伝わってきた。

 蛇足ではあるが、東京都中央区の日本銀行本店を上から見ると「円」の漢字に見えるという情報をネットで見付けたことを付け加えたい。【デジタル編集部・千葉剛之】


磐井病院、南光病院を上から見て「夢に見える」と話題にしている住民組織「KMY(狐禅寺・みんなして・やっぺし)プロジェクト実行委員会」が制作した動画はこちら(病院をドローン撮影しています)

▲Youtube版・狐禅寺smileコレクション《完全版》(メイキング映像+本編:7分15秒・一関市公式チャンネルより)

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