2025年12月2日
先ごろあった東京地裁の判決に驚いた男性は多いのでは。職場で日常的に名前を「ちゃん」付けで呼ばれ「精神的苦痛を受けた」として40代の女性が元同僚の年上の男性に慰謝料を求めた訴訟。セクハラと認定し、男性に22万円の支払いを命じた
▼判決で、ちゃん付けは幼い子どもや交際相手など親密な関係で使われることが多く、業務上で用いる必要はないと指摘。相手に不快感を与えると判断したもので、内心ドキリとしてわが身を振り返った
▼ちゃん付けの何がいけないのか。法律の専門家は、共に仕事をする相手として尊重していない、優位に立とうとする意識が根底に隠れている可能性を指摘する。パワハラの要素もありそう。当人は親しみを込めたつもりでも相手がどう思うかが問題のようだ
▼今月は厚生労働省が定める「職場のハラスメント撲滅月間」。年末を控えた繁忙期でストレスがたまる上、忘年会など飲酒の機会が増える。いわばハラスメントが起きやすい時期だ
▼ちゃん付け訴訟の男性は「かわいい」「体形いいよね」など容姿に関わる発言もしていて、女性はうつ病になり退職したという。当人同士の関係性にもよるだろうが、小学校でも男女を問わず「さん」付けする時代。職場での呼称について改めて考える機会と捉えたい。

