2025年12月4日
一関市の友好都市に埼玉県吉川市がある。旧室根村出身で教諭を務めた小山健一さんが先駆者となり教え子らを村に連れてきたのが交流の原点。1997年に結ばれた友好提携は市町村合併で2005年に誕生した新一関市に引き継がれた
▼吉川市は県の東南部に位置し、江戸川と中川に挟まれた水と緑が豊かなまち。起伏が少ない低地で古くは舟運で栄えた。東京都心から20㌔の条件にありベッドタウン化が進む。川魚料理が有名で「なまずの里」としても知られる
▼江戸時代には川魚を売りにする料亭が軒を連ねていた。かつて各地に生息したナマズは平安時代の文献にも調理の記述があり、日本人にはなじみ深い。その中にあって「吉川に来て、なまず、うなぎ食わずなかれ」といわれるほどだ
▼天然物の減少に伴い吉川市ではナマズの養殖も盛んに行われている。かば焼きなどにして出す老舗があり食通をうならせる。24年前村側に同行し訪れたが、料理に加え酒の名も「なまず御前」というから並々ならぬ愛着を感じた
▼ワシントン条約会議でウナギ属の規制拡大案が否決されたが、日本の主張がこの先通る保証はない。ナマズは味も見た目も遜色ない。地震予知が可能ならば和食の未来も予見できるのか。吉川市のなまず像に問うてみたい。

