2025年11月29日
今年は幸い本県を直撃するような台風がなかった。夏から秋を飛び越え、一気に冬になるような気候。気付けば台風シーズンも過ぎ去っていた
▼気象庁のデータによると、今年は7月から9月までに3件の台風が日本に上陸した。過去の台風で上陸の時期が最も早いのは4月25日(1956年)で、最も遅かったのは11月30日(90年)。12月の上陸は統計上例がないが、油断はできない
▼100年余り前の20(大正9)年は水害が相次いだ年だったようだ。一関市民俗資料館で開催中の企画展「生誕150年記念 柳田國男と一関地方」に関連する展示があった。柳田は8月10~12日に足を運んだ一関で水害に遭遇。面会を予定していた旧門崎村の郷土史家鳥畑隆治と会うことができず、旅の計画も変更を余儀なくされたという
▼展示の解説を見ると、東磐井ではこの年水害が3回発生。薄衣や門崎、黄海で被害が大きく、山津波が起きた地域もあった。もしや常襲地ゆえの慣れもあったのか、柳田が書いた「町の大水」からは人々のどこかのんきな雰囲気も感じ取れる
▼一関遊水地が来年度から供用開始するらしい。流域住民の生命や財産を守ってくれる治水施設の完成は心強い。とはいえ、災害は忘れた頃にやってくる。常に備えは忘れずにいたい。

