おはなしたいむ

「なんでも だっこ!」 言葉はいらない、でも必ず伝わる

 「だっこロボ」に扮(ふん)した男の子がいろんなものを抱っこしていく、ほんわかした短いお話です。家族はもちろん、道行く人やいろんな動物たち、ベンチ、ポストなどの物も抱っこしてあげます。

 子供も大人も、抱っこやハグをしてもらうと安心できるもの。だっこロボも本当は、お母さんに抱っこされるのが一番好きなようです。抱っこされると「独りぼっちじゃない」と実感でき、ハグすると「大丈夫だよ」と伝えることができます。抱っこしたり、されたりしながら読んでみてください。

 本を閉じると、作中ではだっこロボを遠くから見ていた犬が、亀と抱っこし合う姿が描かれています。前向きで分け隔てないだっこロボにつられ、温かい気持ちがどんどん広がっていきそうです。実際に抱っこはできなくても、「あなたに心を開いているよ」という気持ちを届けたくなります。

 お気に入りはハリネズミのシーン。とげとげのハリネズミを喜ばせるため、自分も痛くないように工夫した完全防備の姿がとてもかわいらしいです。大人が読んでもクスッと笑えるところが多く、お薦めです。

 米国人の原作者は、読者に「この本をだっこしてほしい」と呼び掛けています。抱き締めたくなるような大切な一冊を、皆さんにも手に取ってほしいです。


平泉町立図書館 会計年度任用職員・佐藤雅子さん

 何となく読んでみた本がお気に入りになることもあります。話題の本を紹介する企画展を25日まで開催しているので、そんな一冊を探してみてください。おはなし会は7月から再開予定です。お楽しみに。