炉端語り 衣川の方言から

雲海

【アキ】スキー場まだ?

【父】 も、すぐ。あ、なんだれぇサ着えだだや。ほんでぇハ車がら降りでえど。

【母】 あらっ、見て見て。雲海だよ雲海、左、左。

【アキ】どこどこ? あ、あれ、あの綿みたいの。ヒャーッ、初めてみるなー。

【ヨシ】わっすげぇ、ホント。谷が雲で埋まってて平たくて広いなー、ずーっとあっちまでだよ。足元も雲で、どこを歩けばよいか分かんないよ。谷に落ちそうでおっかないなー。

【アキ】雲の上にいるみたいで気持ちいいなー、最高。一回雲に乗ってみたいと思ってたんだ。

【父】 西遊記の孫悟空みでぇだべぇ? アキ。

【母】 こごの国見平スキー場さ来っと時々見れんだ。雲海ってたぎゃ(高い)山だげでねぇぐ、こんなどご(所)でも見られんの。

【ヨシ】この雲海、いつまでも広がってんの?

【父】 いや、太陽がだんだんたぎゃぐなってくっとけで(高くなると消えて)すむのサ。雲って霧だがらナ、蒸発すんだもや。今日はえー天気になっぺぇ。

【アキ】雲って煙かと思ってたよ。霧かー。

【父】 そ、雲のうちで一番低い雲さ。層雲ってもえって、雲の中さえっとぬれでくんだ。

【母】 ヨシ、アキだ初体験でぎで運がえがったなー。んでぇハ眺めながらおやつにすっと。

構成・小野寺精一(奥州市)