炉端語り 衣川の方言から

【父】 あ、なんだやおめぇだづ、盛り皿のおがずけばす(自分が使っている箸)で取ってさ。なんぼ(いくら)家族でも駄目だど。

【アキ】 だってお姉ちゃんが好きな物を先に取んだも。

【ヨシ】 あ、ゴメンゴメン悪いことしちゃった。

【母】 ホラ、めぇめぇざら(銘々皿)があっぺぇ? そのためにあんのだがら、それさ取り箸で好ぎなっくれぇ取ってく(食う)の。

【祖父】 宴席でさ、おがずのお取り回すのどぎ、わりゃ(自分)の箸を逆にすて取ってだっきゃ(いたら)、隣の人が、取り箸をもらってがらの方がえーよって言うんだ。

【父】 時々見んだが、け(食べ)ながらけばすでさ、人や物を指すたりすんのや、どれを食うべど選んでる迷い箸っつのァ、見ででかっこわり(格好が悪い)っちゃ。

【母】 それに歯さ物が挟まったどがです、けばすで口の中いじってんのは見苦すすねぇ。

【ヨシ】 箸だっていろいろ使い方があるんだなー、覚えとこ。

【祖父】 わらすの時さ、おもっしぇがってポタポタど汁を落どすながら食ってだっきゃ、涙箸はだらすねぇって、箸でただがれだごどあったのあづだすたでぇ(思い出したよ)。

【祖母】 まなありすと(まだありますよ)。おがずさ刺す「刺す箸」どが、なめる「ねぶり箸」、箸で寄せる「寄せ箸」どがス。

【アキ】 わー、やっちゃ駄目なの多いなー、箸の持ち方もあるし。

構成・小野寺精一(奥州市)