炉端語り 衣川の方言から

立冬

【父】  ついこねぇだ(最近)までえがった(暖かくて良かった)が、この頃ぁ日ざすがよわぇぐなってきてだが、かしぇんででも(働いていても)あしぇかぐよでねぇなー。

【母】  そでがすとも(そうですよ)立冬だもす。アキ、立冬って聞だごどあっぺぇ?

【アキ】 ウウンないよ、なんのこと?

【父】  それはな、暦の上での話すなんだけんと、これがらさめぇぐなって冬になっから、そろそろ冬の準備をしなさいよってゆう(いう)お知らせのことなんだ。

【母】 さめぇばんでねぇくて、日脚もみつきゃぐなって「秋のつるべ落どす」どえって(言って)、くりゃぐ(暗く)なんのが早ぐなってくんの。放課後もたくたすてっと、そななっからな、さっさどえそえで(急いで)きゃってくんだど。

【ヨシ】 でもねぇ、放課後、学級の係活動がいっぱいあんの、だから。

【父】  ほだべが、この頃になっと北からのさめぇ季節風がつえぐ(強く)なってきて、木枯すっつ冷てぇ風が吹えでくんだもさ。風邪にががんねぇよにど、すんぺぇすてゆうのだかんな。

【母】  そえっつぁ(それに)さ、今日は晴れででえーな(よいな)ど思ってでも、急に空がわりぐ(悪く)なってすぐれるごどもあっから、この時期油断なんねぇす。

【父】  そーえば去年は熊の出没最多だったが、こどすだってよぐ出でった。冬眠すんのにえしょがすんだべな。おらもは熊にまげねぇよに冬支度さ、みすとかがって(一生懸命になって)やんねぇっきゃねぇっちゃや。

構成・小野寺精一(奥州市)

momottoメモ

 岩手日日電子新聞momottoでは、炉端語りセレクション(音声付き)もお楽しみいただけます。今回は2016年11月6日付「生きた化石」を公開します。