ソムリエ流 菜食健美

地味だけど実力派 シシトウ

ご飯のお供にぴったり。シシトウのかやくみそ
シシトウ。皆さんは果の先端が「獅子頭」に見えますか?

 今回は常に店頭に並んでいるけれど、スポットライトを浴びることが無かったであろう野菜を取り上げようと思います。

 世の中には数え切れないほど多くの野菜があり、今回の題材が決まらず締め切りが迫る中、天ぷらを揚げながらふと思い付きました。天ぷらの盛り合わせや、天丼によく使われていて、地味なのに当たり前のような顔でいるアレです。

 数年前まで、わが家のビニールハウスでシシトウを育てていました。わさわさと茂った緑の枝葉の中をもぐるようにし、小さな緑の実を一つ一つ収穫するのは思いのほかしんどいものでした。

 シシトウは、その果の先端が「獅子頭」に似ていることから「獅子頭唐辛子」と呼ばれ、略されて「シシトウ」になったといわれていますが、私にはどうしても獅子頭には見えません。また、青トウガラシと見間違えそうになるのは、同じナス科トウガラシ属だからです。ピーマンや甘長トウガラシとともに、辛くないトウガラシの仲間に属します。

 栄養成分は、ビタミンC、ビタミンP、βカロテン、カリウム、食物繊維などです。ビタミンPはビタミンCの吸収促進や、毛細血管を強くし動脈硬化を予防します。βカロテンは粘膜や皮膚を強くし、免疫力を向上させます。辛くはないですがカプサイシンを含むため、脂肪燃焼を高めてくれます。

 ここまで効果効能を並べたら、もう食べない手はないでしょう。ピーマンのように切ったり、種を取り除いたりの手間はありません。焼きびたしや素揚げにし、塩をパラリと振り、食してみてはいかがでしょうか。もちろん肉と炒めてもバランスは良いです。加熱の際は、破裂を防ぐため実に小さな穴を開けることを忘れないでくださいね。私は、青い実から熟して赤くなった時の味を確かめようと思っています。

 文・写真、野菜ソムリエ高橋千鶴子(奥州市)


【シシトウのかやくみそ】

◆材料=シシトウ1パック、長ネギ(みじん切り)1/2本、ショウガ(みじん切り)10グラム、みそ50グラム、砂糖大さじ1と2/3、サラダ油大さじ1

◆作り方=(1)シシトウは1センチぐらいの小口切りにする(2)みそと砂糖を合わせて練る(3)フライパンに油を熱し、シシトウを入れて炒め、青みが濃くなったら長ネギとショウガを加えて炒める。全体に油が回ったら(2)を加えて炒める。※シシトウは切らずにお好みの肉と炒めると立派な主菜になります