里山スケッチ

開花、春の妖精

早春、葉よりも先に花弁が開くアズマイチゲ(東一華)

 あっという間の雪解けを追い掛けるように、ぐんぐんと背を伸ばす植物たち。例年より1週間ほど早く、フキノトウにはタテハチョウの仲間が蜜を求めて舞い降りた。今春はヒオドシチョウがほとんど見られず、シータテハやアカタテハばかり。季節の流れ、自然環境の変化は、人や生き物たちと共にあるのだ。

 フクジュソウが深緑の葉を茂らせ、セリバオウレンが日陰で人知れず咲き誇る頃。清楚(せいそ)な白い花を開くのはアズマイチゲ。林の周りなど日陰の湿った場所に自生する。県南地域では、姿のよく似たキクザキイチゲより数が少なく、特に関東以西で絶滅の危機に瀕(ひん)している。本種は、カタクリやショウジョウバカマと同様、夏を迎える前に枯れて姿を消す春植物(別称スプリング・エフェメラル、春の妖精の意)。短い花の命に1年の全てをささげるさまは、実に真っすぐでいとおしいものだ。

 新たな出会いと再会を祝い、同じ時を刻みながら今を生きることに感謝した。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所常勤研究員・佐藤良平)