里山スケッチ

陽だまりを追い掛けて

キトンボ。アメリカザリガニなどの外来種の影響で全国的に激減

 枝を離れてなお、真紅を宿すモミジの葉が旋風に舞う。雨が降るたびに寒くなる県南の里山では、小春日和のぬくもりが身に染みる。時折、雲に隠れながらも大地へほほ笑みかける太陽。寒さに凍えていた生き物たちが元気を取り戻す。

 ため池の周りで、羽の脈まで色づいたキトンボに出会った。本種の幼虫(ヤゴ)は流れのない水中で生活。夏に羽化する成虫の体色は、黄色というよりだいだい色に近い。秋の深まりとともに腹部の色は赤く染まるが、童謡に登場する赤とんぼ(アキアカネ)とは別種。県南地域に生き残る希少野生動植物だ。つがいのアオイトトンボや成虫で越冬するオツネントンボも陽だまりを追い掛ける。たくさんのハクチョウやカモが羽を休め、林ではニホンカモシカが恋の季節に戯れる。

 厳しく静かな冬の入り口は間近。その中で、種子や根、卵やさなぎ、さまざまな姿や方法で生きつなぐものたち。冬を乗り越えようと奮起する命の輝きが晩秋の美を引き立てる。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所常勤研究員・佐藤良平)