里山スケッチ

小さな花の視点

キッコウハグマは、葉が亀甲、花が槍の飾りの白熊に因む

 秋の深まりから冬の近づきを感じる。限りある季節、今こそと咲き誇る野草の姿が里山にあった。日に日に花が増えてゆく春と異なり、秋は色彩豊かな花が一斉に咲く。

 雑木林に足を踏み入れると、ふかふかのコケを毛布代わりに寝そべるような、たくさんのドングリが落ちていた。やがて、ドングリは鳥やリスに食べられ、冬の非常食として地中や木のうろなどに隠される。その一部始終を見届けるのは、傍らに咲くキッコウハグマだろうと想像を膨らませた。キッコウハグマの大半は背丈10センチ程度。県南地域では10月から1センチに満たない白い花を咲かせる。薬草として有名なセンブリと同様、草刈りが行われる林の縁に見られる。

 県南の里山に暮らす生き物たちは、人の営みが生息の条件に欠かせない一方で、あまり関心を寄せられることなく命を繰り返してきた。その存在に気付いて彼らの視点になれば、ありふれた景色から、人と自然が共に生きる地元の魅力を学ぶことができる。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)