里山スケッチ

山肌を染めるツツジ

曇天の下、五葉山に咲くヤマツツジ

 短い夜が明け、一日の始まりを歌う夏鳥たち。山間を抜ける風に乗り、コルリやカッコウの声がこだまする。すがすがしい早朝、五葉山を登る足取りは軽い。

 住田町、釜石市、大船渡市にまたがる五葉山(1351メートル)は、三陸海岸の最高峰を誇る。また、一関市室根町の室根山や同町と宮城県気仙沼市にまたがる大森山などと並ぶツツジ類の群生地としても名高い。ヤマツツジは、他の樹種が生育しにくい急斜面の岩場に群生。花は5月下旬から6月上旬に満開となる。登山口の赤坂峠と賽の河原(3合目)から石畳(5合目)の群生地は見応え抜群。岩の割れ目に根付き、地をはうように枝を伸ばして咲くヤマツツジも。その花々は、言わば鮮やかに燃える命の炎だ。

 6合目からは、ダケカンバ、ヒノキアスナロなどの自然林が発達。一方、シカの食害による植生の衰退が懸念されている。山頂付近は高山帯へ移り、7月にはハクサンシャクナゲの花が見頃に。帰路の最中、胸の鼓動は再びの登頂を願い、高く弾んでいた。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)