里山スケッチ

経塚の山紫水明

経塚山山頂からの光景。夕焼けと焼石連峰、胆沢平野

 心を魅了する壮観は意外と身近なところに。束稲山系のひとつ、日没間近の経塚山(きょうづかやま)(奥州市・518メートル)へ。山頂までは、県道237号線に接する登山道から徒歩10分ほど。

 眼下、新緑と咲き残るカスミザクラ。奥州・平泉を蛇行する北上川は、巨大な生き物のよう。今日は穏やかに、田園を潤して悠々と流れゆく。人と自然が紡ぐ水辺は鏡となり、夕焼け空を艶やかに映す。気付けば立夏を控え、眼前の栗駒山や須川岳も雪が薄くなったと実感。 

 経塚山の名は、藤原秀衡公が同山へ経典を納めたことに由来。秀衡公の妻が安産を祈願してくぐったと伝わる胎内石は、月山キャンプ場とをつなぐ登山道に鎮座。山頂付近では、源義経公が馬を乗り回し、蹄の跡を残したととされる馬蹄石(ばていせき)が見られる。

 サクラが散り、膨らむツツジのつぼみ。経塚山では、地元団体、有志が登山道の整備やツツジ群生地の復元を目指している。美しき景観とそれを愛して守り伝える人々に畏敬の念を抱いた。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)