里山スケッチ

大暑、生命の輪

真夏の日差し、ヤマユリと空蝉

 タカの仲間が巣立ちを終えると、県南の里山は大暑を迎える。田んぼで羽化したアキアカネは涼しい場所を目指して大移動。今ごろは、須川岳(別称・栗駒山)の頂を乱舞しているだろうか。セミの声が染み渡り、汗のにじむ真夏日が続く。

 甘い香りは、林の縁に咲くヤマユリから。白いラッパ状の花が自己主張。アゲハチョウを誘い、花粉を運ばせる。花を間近で楽しもうと近づくと、葉の上に避暑する子ガエル。裏側にヒグラシの抜け殻を見つけた。コアシナガバチは巣作り、子育てにいそしむ。輪生して折り重なるヤマユリの葉は、成長と安らぎ、生き物の輪を生み出す。

 日陰に流れる爽やかさには立秋の気配。秋の七草、キキョウやカワラナデシコが既に咲き始めている。花には花の物語。そこに集う生き物たちの物語が続く。風のように通り過ぎる季節。人々は、その一瞬、一つ一つに思いを寄せ、里山という大きな物語をつづる。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所常勤研究員・佐藤良平)