里山スケッチ

厳冬の授かりもの

熟した柿の実をついばむ冬鳥のシロハラ。体長は25センチほど

 桃栗三年柿八年。これは、種をまいてから実がなるまでの年数。県南地域では、せっかく甘柿を育てても、渋柿に変わるという話をよく聞く。寒冷地では、柿の渋みが抜ける前に熟してしまうようだ。

 冬鳥のツグミが騒ぎだすと大寒波の予感。寒さと飢えに耐えるため、柿の木に群がって果実をついばむ。同じ仲間のシロハラ、ごくまれにトラツグミも登場。ヒヨドリは常連。キツツキのアオゲラも現れ、本当によく柿食う客だと思わせる。食べ物が乏しくなると、鳥喰(く)わずの異名を持つカンボクの果実さえ食べる野鳥が現れる。その果実は壮絶な苦さだが、鳥たちは味に鈍感なのか、生きるための我慢を強いられているのだろう。

 昨年と一昨年は暖冬で雪が少なく空気が乾燥したため、柿の実は鳥たちの食べ頃を迎えないまましぼんでしまった。今年は久しぶりの豊作。鳥たちの歓喜の声が聞こえた。厳冬の寒さと風雪は、春を迎えるための試練と恵みを授けるのだ。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所常勤研究員・佐藤良平)