里山スケッチ

寒の戻りにウソの声

ウソの雄。口笛の古称である「うそぶき」が種名の由来

 ウソは、北海道や本州の高山で繁殖する小鳥。冬は、全国の低地に渡り、ユーラシア大陸で繁殖した本種も飛来する。雄の鮮やかな頬は、意中の人を前に赤面しているようで愛くるしい。雌の羽毛は冬枯れ色でつつましい印象だ。

 ウソは、サクラやモモの花芽を食害する害鳥とされることも。サクラの名所である岩手公園(盛岡城跡公園)では、反射テープやカラスの模型を設置。同じく、三戸城跡城山公園では、天敵である猛禽類の声を放送してウソの追い払いに取り組む。一関市内の釣山公園でも、サクラの花が少ない年があるが、開花条件には気候の影響も考えられ、ウソのせいだけとは言い難い。春、繁殖地へ渡るための体力が必要な本種にとって、大好物であるサクラの花芽に群がることは必然と思える。

 凶事を「うそ」にして吉事に「とり」替える。ウソは、幸運を招く鳥として古くから信仰がある。3月の終わりは寒の戻り。「フィッ、フィッ」と、口笛と似たウソの声が粉雪に交じった。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)