里山スケッチ

春の水澄まし

ミズスマシの成虫。中脚と後脚をスクリューのように使って泳ぐ

 ウグイスの美声は山野を、アカガエルの合唱は水辺を春へ導く。里山を飾る花にチョウやアブ。アカガエルの卵がオタマジャクシへ変わる頃、水生昆虫も活発となる。

 山間部、ため池を素早く泳ぐ小さな生き物。一見、まるでスイカの種に見えるそれは、水生甲虫のミズスマシ。本種の成虫は、体長約6ミリで、水面を腹ばいに旋回しながら泳ぐ。その際、自らが起こす波紋を利用して障害物を感知。水面に落ちた虫の動きは、獲物として判別し、捕らえる。また、複眼は上空と水中の天敵を注意するため、それぞれ二つ、全部で四つあることも特徴。本種の成虫は、春、水草に産卵。ふ化した幼虫は、ムカデと似た姿で肉食性。やがて、泥で繭を作り、成虫へ羽化する。

 ミズスマシは、国の絶滅危惧Ⅱ類。県南地域においても、その生息地は局所的だ。4月、田起こしが始まる前、越冬から明ける本種の成虫たち。彼らの泳ぎは、お互いの出合いを祝しているのか、くるくると嬉しそうに見える。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)