里山スケッチ

雪中、冬の物語

22日の磐井川上流域。静かな川音が立つ

 秋の面影は、13日から14日の一夜にかけて、銀世界へと塗り替えられた。厳冬期の1月、2月を彷彿(ほうふつ)とする県南の里山。昨日まで揺らいでいた湖沼の水面はすっかり凍結。その後も降り続く雪に、閉ざされてしまった川の流れ。獣の足跡はあまり見当たらず、気配もしない。

 県南地域では、数々の河川が自然の恵みを運んで走っている。また、萩荘地域には約1000個、花泉地域には約200個のため池が雨水を蓄え、命の営みを支えてきた。凍てつく水辺は冬ガモさえ少ないが、水中では、さまざまな生き物が春をじっと持つ。トウヨシノボリや絶滅危惧種のミナミメダカなどの魚類は寒中水泳。トンボの幼虫やヤマアカガエルは水底で越冬する。

 つかの間の晴れ。陽光が雪に照り返し、黒々とした磐井川へ暖色を与える。岩盤斜面から解けて傾れた雪は、まるで海の白波だ。水墨画のような寒々しい景色にも、万物が織り成す多彩な物語。その冷たさと麗しさが、琴線を優しく震わせた。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)