里山スケッチ

静かなる水中の忍者

ミズカマキリは成虫で越冬。夏、雌は陸上のコケに産卵する

 高く澄み切った青空に、紅をともすサクラの葉。秋晴れの景色を映すため池の水面から、ミズオオバコが薄桃色の花を咲かせていた。水中には、じっと身を潜めるミズカマキリ。腹部先端の管を水上に出して呼吸するさまは忍者さながら。

 本種は、全国の水田や池沼などに生息。成虫の体長は5センチほどで飛行能力が高く、水たまりや屋外プールにも現れる。幼虫は羽が未熟で飛べないものの、見た目と獰猛(どうもう)さは成虫と変わらない。小魚や昆虫類、オタマジャクシなどを植物に擬態して待ち伏せし、鎌状の前足で捕獲。そして、獲物に鋭くとがった口を刺して消化液を注入し、溶けた肉を吸収するのだ。姿や狩りの方法は、カマキリと似るが、本種はカメムシの仲間。故意に人を刺すことはなく、のんびりとした泳ぎや宇宙人のような顔は、不思議な魅力を放つ。

 10月初週、水草も紅葉して色づいてゆく。植生豊かな水辺環境は、圃場(ほじょう)整備や外来種の侵入により、県南地域でも少なくなっている。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)