里山スケッチ

雪滴、残雪の森

クロツヤミノガは、サナギを経て夏に羽化する。雌は羽を持たない

 地を染める錦色の落ち葉はやがて白一色に。雪が降り積もれば山も街も別世界となる。初冬に降る雪は、太陽が昇るにつれて雨となり、見る見る解けていった。

 内陸の山間部では、寒さと静けさ、残雪が居座る。夕日を浴びてきらめく雪の滴。ガマズミ(ソゾミ)の真っ赤な実が北風に揺れる。そのさまは、燃え盛るたいまつのようでありながら、冷たい潤いを蓄えていた。目を凝らすと、枝先に大きさ3センチほどのミノムシがぶら下がっていた。

 ミノムシの正体は、ミノガ(蓑蛾)の幼虫の巣。巣は、幼虫が口から吐く粘着性の糸で枯れ葉や枯れ枝をつなぎ合わせて作られる。生まれながら身を隠すすべを熟知しているのだ。厳冬の気配を感じているのか、幼虫はすっぽりと巣をかぶり、顔を出さない。野鳥が食べるガマズミの実の傍らで大丈夫かと疑問だが、この場所で冬越しを決めたようだ。

 朝から降っていた雨が夕方には雪へと変わった。師走のゆく年が、しんしんと暮れてゆく。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)