里山スケッチ

巡る水と生命線

マルガタゲンゴロウの成虫。オタマジャクシや弱った魚類などを捕らえる

 マルガタゲンゴロウは、国の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている水生甲虫。成虫は、体長1.4センチ前後で、漆器を思わせる艶やかな背中(上翅(じょうし))と、後ろ足を使った巧みな泳ぎが印象的。水田や湿原など、流れのない浅い水域を好んで生息し、特に関東以西で個体数、生息地の減少が著しい。

 県南地域では、5月から7月にマルガタゲンゴロウが繁殖期を迎え、世代交代を行う。越冬から覚めた成虫は、主に水張りされた水田を繁殖地とし、雌の背中に雄がくっついてつがいとなる。雌は単独で水中の水草に産卵。ふ化した幼虫は、イモムシのような姿で、ミジンコを主食とする。幼虫は2回脱皮し、水際の地表で周りの土を囲い、その中でさなぎを経て成虫へ羽化。水田の水が抜かれると、ため池や水路に移動し、越冬する。

 このように、カエル類や魚類など、他の水生生物と同様、マルガタゲンゴロウの生息には、陸域と水辺環境の連結性が欠かせない。里山では、人の生み出す水の巡りも、彼らの生命線なのだ。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)