里山スケッチ

伸び立つ稲、星見上げ

一関市花泉町の高木神社と星々の軌跡

 梅雨入りした県南地域。里山は、勢いよく恵みの雨を飲み干してゆく。枝葉を伝う雨滴に夏色の景色。天から授かった潤いが大地と巡り合う。

 待望の雨が降り始める前、県が梅雨入りして間もなくのこと。一関地域に晴天の一夜が訪れた。雲と月のない天の原に、無数の星々がゆっくりと昇り輝く。その美しさをたたえるようなカエルの大合唱と虫の音。あぜの草をかき分けるのは、タヌキか水鳥か。アキアカネは、6月中旬から7月上旬に羽化し、涼しい高所へ渡って暑さをしのぐ。稲の伸び立つ水田は、広大な湿原さながら。そこは、水辺に暮らす生き物の宝庫で、時を分かたず生彩を放つ。

 水田では、稲の発育を調節する中干し、そして、稲刈りに備えて水を抜く。そのため、水辺の生き物は、水田と水路やため池、河川を行き来して暮らす。収穫の秋、稲穂は白米となって食卓に上り、アキアカネが産卵のために水田へ舞い戻る。季節が流れても、水と命のつながりは連綿と続く。

(写真・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所主任研究員・佐藤良平)