里山スケッチ

小さな独壇場

背中の縦筋が特徴のスジクワガタ。県南で最も普通に見られる

 セミの声を聞くと、いよいよ暑い季節がやってくると感じさせられる。オニヤンマやカブトムシ、クワガタムシなど、彼らは夏に欠かせない子供たちの遊び相手だ。

 雑木林のコナラの樹液には多くの虫が集まる。6月下旬には早々とコクワガタやスジクワガタが現れる。スジクワガタは体長3センチ前後、2センチに満たないこともある小型種だ。時に体長6センチ以上になるミヤマクワガタやノコギリクワガタが現れるまで、彼ら小さなクワガタが樹上の食卓の主となる。スジクワガタを観察していると、樹液をめぐって他の虫を追い払ったり、雄が大顎を使って仲間を投げ飛ばしたりと、ちょこまかとした動きが面白い。

 樹液には毒性の強いスズメバチも集まり、バナナなどを使用したクワガタ採集のわなは、地域によってはクマを引き寄せる危険性がある。樹液を出そうと故意に樹皮を傷つければ木が弱ってしまう。自然の魅力にあふれる里山だが、生き物に配慮して優しい気持ちで付き合っていきたい。

(写真・動画・文、久保川イーハトーブ自然再生研究所常勤研究員・佐藤良平)