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受賞作掲載誌売り切れ続出 芥川賞 書店に“沼田フィーバー”【岩手】

芥川賞発表から一夜明け、「文學界5月号」が完売した「さわや書店 ORIORI」

 第157回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の発表から一夜明けた20日、盛岡市内の書店では、芥川賞に輝いた盛岡市の沼田真佑さん(38)の「影裏(えいり)」が掲載された文芸誌を買い求める人が押し寄せ、各店舗で売り切れが続出。「どんな内容か気になる」「早く読んでみたい」などと県民の興味をかき立てている。

 JR盛岡駅ビルフェザン内の「さわや書店 ORIORI」では、同作品が芥川賞候補に挙がった6月下旬に掲載誌の「文學界5月号」を発注し、平積みにしてPR。18日までの販売数は2冊にとどまっていたものの、19日午後7時30分ごろに沼田さんの受賞が発表されると、あっという間に残り1冊に。20日の午前中に完売となり、店頭には「祝!芥川賞受賞 沼田真佑さん」と「【文學界5月号】は売り切れました」のポップが掲げられた。

 同日正午過ぎに来店した60代女性は「盛岡の人が地元を舞台に書いたと知って興味を持った。こんなに早く売り切れるとは」と苦笑い。

 同店次長の竹内敦さん(48)は「受賞の期待も高く売れると踏んでいたが、発表後に一気に売れてしまった」と驚きを隠せない様子で、来店客の対応に追われていた。

 同日は、同市中ノ橋通の東山堂肴町本店などでも「文學界5月号」が完売。電話や店頭で入荷時期の問い合わせが殺到しているという。同市大通のジュンク堂書店盛岡店では5月号の取り扱いは既に終了しており、ポスターなどを店頭に張り出して7月下旬に発売予定の沼田さんの単行本の注文を受け付けている。

 「影裏」は8月10日発売の文芸春秋にも掲載されるといい、単行本と合わせて“沼田フィーバー”は続きそう。竹内さんは「沼田さんは岩手に来て5年ほどだが、自然などの情景描写が素晴らしい。岩手の風土が優れた作家と文学を生み出したことをうれしく思う」と話していた。

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