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「岩手宣言」採択 災害克服へ決意 全国知事会議 

東日本大震災の被災地で初めてとなる全国知事会議が開幕。初日は復興支援や地方創生などについて議論した=27日、盛岡市内

 

被災地で初の開催 地方創生回廊実現も 

 本県で初開催となる全国知事会議は27日、盛岡市内で2日間の日程で開幕した。東日本大震災の被災地で初めて開かれ、「孤立社会から共生社会へ」をテーマに震災からの復興支援の継続や防災、地方創生などについて議論。被災地支援の継続や九州北部豪雨など全国で相次ぐ災害を踏まえ、災害を風化させず次世代への教訓の継承や災害に負けない国土づくりなどを盛り込んだ岩手宣言「千年国家の創造」を採択した。【2面に関連】

 会議には全国知事会長の山田啓二京都府知事をはじめ、小池百合子東京都知事ら47人(代理含む)が出席。山田会長は冒頭のあいさつで「今こそ私たちは、被災者の皆さんが示された他者への思いやりや、支え合うことで苦難を乗り切った心を共有したい。思いを一つにして共生社会の確立、真の秩序の実現に向かって進む」と訴えた。

 開催県として達増拓也知事は「復興の原動力になっているのは日本全国、世界に広がるつながりの力。特に全国の自治体からの応援職員の力により、復興は力強く進んでいる」と各都道府県からの復興支援に感謝した上で「知事会議を機に被災地の復興の歩みを見てもらい、これまでの復興支援への感謝の気持ちを受け取っていただきたい」と歓迎した。

 会議では東日本大震災、防災、東京五輪・パラリンピック、地方創生などについて意見を交わした。

 このうち岩手宣言では、復旧・復興が成し遂げられるまで被災地に心を寄せ、支援と交流を続けるなど被災地に寄り添った支援の継続を表明。風化を防ぐために、災害教訓の次世代への継承などを含めた地域や家庭、学校が一体となった防災教育の充実などを挙げている。

 さらに熊本地震や九州北部豪雨など全国で相次ぐ災害を受け、住宅の耐震化や高速道路を含めたパイプラインの整備を進めるなど、あらゆる災害に負けない「千年国家」を創り上げるとしている。また、災害への備えから復旧・復興までを担う防災庁(仮称)の創設も提言している。

 地方創生については、若者の東京一極集中是正や地方での人材不足、ライフステージに応じた人材育成などについて、山本幸三地方創生担当相との意見交換も行われた。

 このほか九州北部豪雨について、国に激甚災害の早期指定や被災者の生活再建支援などを求める緊急要望、強い毒を持つ南米原産「ヒアリ」の調査や防除に関する緊急要請などについても採択した。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の遠藤利明会長代行との意見交換も行われ、各知事に対し大会機運醸成や聖火リレーへの協力を求めた。

 最終日の28日は憲法・地方分権、スポーツ・万博について議論するほか、午後は政策勉強会として沿岸被災地の復興状況を視察する。

 

全国知事会議・岩手宣言全文 「千年国家の創造」

 多くの尊い命、住み慣れた街並みなど大切なものを一瞬にして奪い去った東日本大震災の発災から早くも7年目を迎えた。復興は着実に進んでいる一方で、今もなお約9万人もの方々が仮設住宅などの避難生活を余儀なくされるなど、さまざまな課題を抱えており、復興は道半ばである。

 日本はこれまで幾多の災害を経験してきたが、そのたびに克服し、再生を遂げてきた歴史を持つ。困難で苦しい時でも、諦めずチャレンジし続ければ、必ず道は拓(ひら)ける。

 国民みんなで力を合わせ必ずや復興(復幸)を成し遂げ、災害の教訓を次世代に継承していく。そして、あらゆる災害に負けない「千年国家」を創り上げるよう、そのためにも、

 1 被災地に寄り添い、支え続ける。

 一人ひとりの住民が幸福を実感できる真の復興(復幸)が訪れるよう、復興庁の被災県への移転を含めた具体的な行動により、復旧・復興が完全に成し遂げられるまで、ステージに応じたきめ細かなニーズに対応しつつ、被災地に心を寄せ、支援と交流を続ける。

 2 災害を風化させず、次世代へつなげる。

 過去の災害の経験と教訓に学び、二度とこのような悲しみを繰り返さないため何ができるかを考え、学校・家庭・地域・自治体などが一体となった防災教育を充実し、災害の教訓を次世代に継承していくとともに、半公半民の地域における防災まちづくりのリーダー設置の制度化などにより、地域ぐるみの共助の体制を築き上げる。

 3 あらゆる災害に負けない「千年国家」を創り上げる。

 想定外をなくし、体系的に対応する事前復興のシナリオを用意して万一に備えるとともに、住宅の耐震化や、高速道路・パイプラインといった「命のライン」の整備を進めるなど、一人ひとりの住まいから社会全体の基盤に至るまで、全国においてあらゆる災害に負けない、しなやかで回復力のある国家、「千年国家」を創り上げる。

 ことを実現し、被災地の復興を加速するためには、被災地における人的支援の継続や長期的な財源の確保はもとより、防災予算の拡充や、「地方創生回廊」の早期実現、人や産業を呼び込み、新たな雇用を創出することなどが必要であり、災害への備えから復旧・復興までを担う防災庁(仮称)の創設も含め、国・地方が総力を挙げて取り組むべきことをここに宣言する。

  2017年7月27日全国知事会

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