奥州・金ケ崎

賢治作品イメージ肌で 埼玉大有機農研学生 米里で原風景体感【奥州】

賢治街道を歩く会の佐伯さん(左)の説明を聞く埼玉大有機農業研究会一行

 埼玉大有機農業研究会の学生らは、今夏も奥州市江刺区米里を訪れた。種山ケ原から人首町までを踏査し、宮沢賢治作品への影響を感じさせる原風景を体感。原体剣舞も披露して地域住民と触れ合った。

 来訪したのは、賢治の足跡を調査するため2014年に訪れて以来、交流を続ける同研究会メンバーで、学生13人と同大非常勤講師舘野廣幸さん、名誉教授本城昇さんの顧問2人。

 21日に実施した踏査には、地元住民らで組織する木細工むらおこし会、賢治街道を歩く会が協力。物見山に登ったり、満天の星を仰いだキャンプ場「種山高原星座の森」から国道397号沿いの道の駅「種山ケ原ぽらん」までを歩いた後、車に分乗した。

 同歩く会の佐伯研二さんの案内で、旧盛街道伝いに県道を移動しながら栗木鉄山があった「古歌葉」、採鉱口と事務所跡の「重王堂」、岩石を分類する集積所があった「火石」、大野金山集落などを巡った。

 旧木細工小学校校庭では、賢治作「種山ケ原」から抜き出した語りと「牧歌」の歌を組み合わせ、区内の原体集落で指導を受けた学部生2人による原体剣舞も取り入れて上演。受け入れ関係者や近くの木細工小児童が鑑賞した。

 賢治が地質調査のため最初に米里を訪れたのは1917(大正6)年で、盛街道が鉄を運ぶための荷馬車や関係者でにぎわっていた頃。本城さんは「賢治作品のイメージを学生たちに肌で感じてほしかった。賢治の風が吹き渡る種山ケ原の麓で上演できて良かった」と興奮気味に語った。

 情感豊かな方言を駆使した語りと歌、構成を担当した同大学院1年の押井那歩さん(23)は「賢治が見たり感じたりしたものを追体験できたのは貴重。踊りが入ることで見ている人も共感し、賢治の世界をよりリアリティーを持って実感できた」と話した。

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