一関・平泉

“歴食”を一品食卓に 平安スウィーツ研究会 前川さんが魅力語る【平泉】

平安時代の菓子の魅力について紹介する前川さん
史料からレシピを探り、再現された「平安スウィーツ」

 平泉ほっとする食のプロジェクト主催の「平安スウィーツ研究会」は28日、平泉町の旅館アイリス悠で開かれた。奈良女子大古代学学術研究センター協力研究員の前川佳代さんが、講話や試食を通じて平安時代の菓子の魅力を伝え、歴史的に食べてきたものを見直し現代の食に生かす“歴食”の実践を勧めた。

 前川さんは初めに平安スイーツの魅力として、日本になじみ深い食材で簡単に作れること、化学調味料が使われておらず安心・安全なこと、そして何よりも歴史を感じながら食べられることが一番の魅力だと強調。

 「歴史的に日本人が食べてきたものを見つけ、それを見直して毎日の食卓に一品だけでも取り入れることで、昔食べられていたことが伝わり、それが子供たちの歴史を学ぶきっかけになるかもしれない」と、歴食が日本の食の伝統と文化を継承する試みになると訴えた。

 その上で平安時代の菓子の種類、史料からレシピを探って再現した平安スイーツを紹介。米粉や小麦粉を水で練り、形を整えて油で揚げた「唐菓子(からくだもの)」、ツタの樹液を煮詰めた日本独自の甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」、小麦粉で作る平泉の郷土食「はっと」に似た「餺飥(はくたく)」などの材料や作り方を解説した。

 講演後には熟した瓜(ほそじ)と餺飥を使って冷製スイーツに仕上げた「ほそじはうたう」、小麦粉と米粉を水で練り塩を加え縄状にした唐菓子の一種で女子が技芸向上を願う七夕まつりに食べられていた「索餅(さくべい)」、平安時代の貴族が食した唐菓子「餢飳(ぶと)」を参考に作った菓子「平泉ぶとまん」などの試食が用意された。

 試食した一関市藤沢町の会社員橋本志津さんは「自然の味がする。(平安時代の人が)こんなおいしいものを食べていたとは思わなかった。索餅などは孫と一緒に作って楽しめるかもしれない」と感心していた。

 研究会は、町内女性有志で構成する同プロジェクトが、平安時代の食に対する理解を深め、歴史をキーワードにした集客力向上につなげようと企画。一関市と同町の飲食店や観光関係、菓子製造、福祉施設などから約20人が参加した。

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