県内外

自然と生きる―災害から防災を学ぶ① 自治会、青壮年会、消防団が連携 頼みは住民同士の助け合い

 一関地方を中心に甚大な被害をもたらしたカスリン、アイオン両台風襲来から70年。今、地球温暖化に伴う常態化した異常気象に翻弄(ほんろう)されている。災害から身を守るためにどう行動し、どんな備えをすべきなのか。自助、共助、公助、防災教育の観点から防災力向上に向けた人々の取り組みを通じて自然と共に生きるすべを探る。

(5回続き)

一関市東山 豪雨被害教訓に自主組織
▲滝ノ沢地区自主防災会では講演会や発電機の使用講習会を開き、
災害に備えている

 一関市北東部の鷹ノ巣山を水源とし、同市の大東、東山、川崎の3地域を流れる砂鉄川。流域の人口は3万人を数え、東山町内には日本百景の一つ、名勝・猊鼻(げいび)渓がある。かつては水位が上がっても激流が発生することは少なかったが、平成に入ってからはたびたび大規模な水害が発生するようになり、中でも2002年の台風6号がもたらした豪雨は多くの住宅や農地に甚大な被害をもたらした。

 台風6号は県内のほぼ全域に大雨を降らせ、特に砂鉄川流域では摺沢雨量観測所で総雨量192ミリを記録し、砂鉄川やその支流が氾濫。戦後3番目に高い水位となり床上浸水743棟、床下浸水222棟、JR大船渡線全線が13日間にわたって運行できなくなるなど、大きな災害となった。

 当時、東山町建設防災課長を務めていた細川正孝さん(70)は「猿沢川の急激な増水で、想定になかった東本町などが水に漬かった。再三の避難勧告にもかかわらず、洪水を経験したことのない人たちが多く濁流の中に取り残された。犠牲者が出なかったのは不幸中の幸いだった」と振り返る。

 水害後、国土交通省岩手河川国道事務所、県、旧東山町、旧川崎村が連携して河川災害復旧等関連緊急事業を05年まで実施。築堤や河道掘削、排水樋門(ひもん)や揚水機場の整備、橋梁(きょうりょう)の架け替えなどで治水対策は大きく前進した。

 しかし、細川さんは「山林の荒廃による保水力の低下や土砂の堆積、河道内の立ち木繁茂などにゲリラ豪雨が加われば安心はできない」と指摘。事実、13年7月に発生した集中豪雨では砂鉄川の水位が最大で2メートル上昇。堤防を越えて東山町松川地内で床上・床下浸水が相次ぎ、農地や農作物に被害が発生した。

▲砂鉄川が戦後3番目の水位を記録した2002年7月の水害。一関市東山町長坂地内も水に漬かった

 

 02年の水害で最も早く対応できたのは地元の青壮年会や自治会、消防団で、地域の緊密な連携が防災につながる。滝ノ沢地区自主防災会(同町松川)では、地域住民を対象に水害体験者から話を聴く講演会や投光器、発電機の使用説明会などを開いており、細川節郎会長は「いつどこで災害が起こるか分からない時代。地域住民同士が助け合うため、日ごろから意識を高めるよう呼び掛けていきたい」と気を引き締める。

(千厩支局・松田真学)

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