一関・平泉

季節と向き合い食養生 一関・一BA薬膳キッチン 冬至にゆず茶作り

ゆず茶を作る「薬膳キッチン」の参加者
▲日常の中での薬膳の取り入れ方を伝えた品川さん

 22日は二十四節気の「冬至」。一年で最も日が短くなるこの日には、昔から風邪予防や無病息災を祈る風習として「ゆず湯に入る」「カボチャを食べる」などが行われてきた。でも、なぜ? 一関市上大槻街の地域活性化拠点「一BA(いちば)」で開催された講座「薬膳キッチン」。参加者がゆず茶作りを楽しみながら薬膳に触れ、季節と向き合い体の中から健康に導く食養生の知恵を学んだ。

 5、10の両日開かれた講座の副題は「二十四節気に沿った生活に生かせる薬膳」。講師を務めたのは漢方スタイリストの品川朋美さん(同市山目)。世の健康食ブームから改めて食について考えるようになり、「きょうはどうしても“”〝あれ〟が食べたいと欲することがある。それがなぜかを知りたくなった」ことから資格を取得したという。

 品川さんは薬膳を、中医学理論(陰陽五行説)を基に体質や症状、季節に合わせてレシピを作るオーダーメードの料理と説明。あらゆる物は対立する二つの性質に分類され(陰陽)、同じく5種類の元素からなり(五行)、「便秘一つとっても、要因は大きく五つある。それによって改善に有効な食材は異なる」などと語った。

 その上で、二十四節気の春分から秋分までを「陽」、秋分から春分までを「陰」と分類。「陰が極まるのが冬至で、この日から新しい1年が始まる。体調を崩す頃でもあり、縁起のいい物、体にいい物を取りましょうとカボチャやユズを取り入れる」と説いた。

 ゆず茶の材料はユズと同量の砂糖のみで、作り方はユズを搾って切ってびんに入れるだけ。冷暗所に10~100日置いて熟成させる。ポイントは「入れる順番と、種も捨てずに入れること。搾り汁を最後に入れるとうまく砂糖が溶ける」と品川さん。参加者は、用意されたオーガニックシュガー、蜂蜜、黒砂糖の中から好みの物を選んで合わせ、冷えや眼精疲労といった悩みに応じてショウガ、シナモン、クコの実などを加えていた。

 完成したゆず茶は、お湯などで割って飲むほか「合わせ調味料にしたり、鶏肉を煮たりしてもおいしい」とも。寒い冬を乗り切る策として▽寒邪(かんじゃ)を防ぐ▽辛みを取る▽鹹味(かんみ)(塩味)を取る▽補気と補血を心掛ける▽養腎を心掛ける-ことも紹介し、「薬膳というとハードルが高くみられるが、ショウガやネギ、ニンニクを取り入れるのも薬膳。もっと身近に感じてほしい」と呼び掛けた。

 冷え性で、根本から温まれるような話を聞きたくて参加したという小山智美さん(同市大東町)は「五行説など聞いたことはあるけど、よく分からなかったことを知ることができた。ゆず茶も火を使わずに作ることができて簡単。機会があったらまた参加したい」と話していた。

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