北上・西和賀

被害「想定超えて拡大」 ナラ枯れ対策セミナー・北上 官民一体の対処重要

ナラ枯れ被害対策セミナーで参加者からの質問に答える丸山氏(中央)ら

 2017年度ナラ枯れ被害対策セミナー(北上川中流流域森林・林業活性化センター主催)は22日、北上市文化交流センターさくらホールで開かれた。参加者は、講師3人の講演を通じ、他県や県内の被害の実態と対策、ナラ枯れ被害に強い森林づくりを学んだ。

 これまでは県南広域振興局管内対象だったが、県内での被害拡大を受け「ピンチをチャンスに!ナラ枯れに負けない広葉樹林業『再興』セミナー」と銘打ち全県を対象に同市で初開催。林業関係者や自治体、団体職員ら約150人が参加した。

 山形県森林研究研修センターの齊藤正一研究主幹が国内、東北地方の被害の実態や駆除、予防法について基調講演。岩手県森林整備課の丸山塁主任主査が本県の被害の現状について報告した。

 ナラ枯れはカシノナガキクイムシが運ぶ病原菌によりナラ類が枯死する流行病で、本県では10年に奥州市の国有林で初めて確認。11年に一関市の民有林で発見後は急拡大し、16年には平泉町や西和賀町、宮古市など9市町に広がった。

 被害木も11年の18本から、16年は4305本に激増。17年には新たに北上市和賀町や岩泉町でも確認され、丸山氏は「想定を超えて拡大している」と指摘。「枯死木による森林や景勝地、公園の景観悪化の恐れがある。枯死後の腐朽が早く、倒伏で電線や道路の寸断、用材での利用価値低下も懸念される」と警鐘を鳴らした。

 高齢のナラ林伐採促進など総合的対策が必要とし「大切な森林資源を守るため、官民一体となった取り組みが重要だ」と強調。県森林組合連合会の田口清治木材部長は広葉樹原木の流通、利用について語った。

 参加者からは県の補助金や防除対策、カシノナガキクイムシの生態などへ質問があり、各講師も丁寧に答えていた。

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