一関・平泉

ILCの意義発信 「ILDミーティング」一関で開幕

日本と欧米の研究者がILC実現に向けて測定器の協議を行っているILDミーティング
政府決断後押し 日米欧から研究者63人

 次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」に関連した国際会議「ILDミーティング2018」は20日、一関市大手町の一関文化センターで開幕した。2014年の奥州市での開催以来で、日本とフランス、ドイツを中心とした欧米6カ国から研究者63人が出席。ILCの建設実現を目指し、素粒子衝突実験に使用される測定器「ILD」について設計内容や機器の性能などについて協議している。【社会面に関連】

 ILDはインターナショナル・ラージ・ディテクター(国際大型測定器)の略で、ILCで行う電子と陽電子の衝突実験を測定する装置の名称で、ILDミーティングは世界各地で定期的に開かれている。今回は17年11月にカナダで開かれた国際会議でILCを段階的に整備し初期投資を抑える「ステージング」が了承されるなど実現への動きが活発化する中、これまで進めてきた測定器の最適化について具体的な検討を深めていくことなどを狙いに開催された。

 初日は開会セレモニーが行われ、会議の責任者を務めるドイツ電子シンクロトロンのティーズ・ベンケ教授が今回の会議の意義などを説明。欧州の次期素粒子物理5カ年計画策定を控える中で、日本の誘致決断を後押しする意味でもILCプロジェクトの意義や建設コストなどをさらに詰めていくことを確認するとともに、ILC全体として性能を上げるための検討を進める方針を示した。同日は現在進んでいる研究の成果などについて出席者から報告があった。

 現地実行委議長の佐貫智行東北大大学院理学研究科准教授は「研究者だけでなく多くの人たちがILCの実現に向けて行動している中で、研究成果の状況やILCの意義などを発信する機会にしたい」と語っている。

 会議は22日までで、21日には東北ILC準備室長の鈴木厚人県立大学長による講演も行われる。

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