大谷、田中に２三振　大リーグ初対戦は無安打

　【ニューヨーク時事】米大リーグは27日、各地で行われ、ヤンキースの田中はエンゼルス戦に先発して４番指名打者で出場した大谷翔平（花巻東高出）とメジャーで初対戦し、３打席の対戦で２打数無安打に抑えた。第１打席は空振り三振、第２打席は四球、第３打席は空振り三振。田中は６回３安打１失点で６勝目（２敗）を挙げた。大谷は２打数無安打、２四球で３試合連続無安打。ヤンキースが３－１で勝った。

　両者の対戦は、田中が楽天、大谷が日本ハムに所属していた２０１３年以来。同年は田中が11打数無安打、６三振に抑えた。

　パドレスの牧田はドジャース戦の五回に３番手で登板し、３回を無安打無失点に抑えた。パドレスは１－６で敗れた。ダイヤモンドバックスの平野はアスレチックス戦の八回に４番手で登板し、１回を１安打無失点。チームは１－２で敗れた。

田中、要所締め６勝目

　試合開始時の気温は前日より13度も低く、風も強かったが、ヤンキースの田中は気にせずプラン通りに攻めた。｢狙い球を絞らせず、いろんなボールを使いながら投げられた｣

　初回の先頭打者を安打で出し、大谷との注目の対戦の前に最初のヤマ場。前日５安打と大当たりだった２番トラウトに対し、カットボールを有効に使って優位に立つ。追い込んでから際どいスプリットをファウルにされたが、最後は直球で空振り三振に仕留めた。

　２死からはついに大谷とメジャーで初対戦。｢くさいボールをなかなか振ってこなかった。抑えるのは容易ではない｣と振り返ったが、最後はスライダーを振らせて三振。四回無死一塁からは大谷を歩かせたが、次打者をスプリットの連投で三振、キンスラーは高めの速球で併殺に仕留めた。

　｢アグレッシブな姿勢｣を貫けるだけの制球力があり、相手のキーマンと警戒したトラウトと大谷を沈黙させた。六回にスライダーの制球ミスで本塁打を許したが、今季最多の１０４球でこの回を投げ切り、６勝目を挙げた。大谷に貫禄を示しただけでなく、｢僅差の試合をしっかり勝てたのはよかった｣と満足できる投球だった。

　２三振に１四球。４番に座った大谷は、田中に仕事をさせてもらえなかった。５年ぶりの対戦を振り返り、大谷は｢変化球も一つ一つ素晴らしいが、カウント球から枠の隅を突くような制球力がある｣と印象を語った。

　象徴的だったのは、六回の第３打席だった。初球は速球が外れてボール。続く外角への変化球を空振りすると、３球目は外角低めのコーナーをかすめるような速球がストライクとなり追い込まれる。最後は低めのスプリットを豪快に空振りした。

　一回の第１打席に喫した三振は、フルカウントからスライダーを振らされた。内角低めに投げ込まれた１球に｢際どいところに制球されていたので、なかなか打てない｣と白旗を揚げた。

　日本での２０１３年の対戦は、11打数無安打で６三振だった。変化球や手元で動く速球を多用するなど、田中の投球スタイルは楽天時代から変わっているが、｢素晴らしいコントロールがあるのは日本時代と変わらない｣。制球力の高さに改めて脱帽した。

　【ニューヨーク時事】米大リーグで初となるヤンキース田中将大投手と打者で出場したエンゼルス大谷翔平投手の対決を一目見ようと、27日のヤンキースタジアムには地元ファンのほか、大勢の日本人ファンも応援に駆けつけた。

　ノースカロライナ州から観戦に来た坂井康志さんは、１カ月半前にチケットを購入。期待していた投げ合いは見られなかったが、｢日本人２人を一度に見られるのは貴重な経験。両チームとも応援できる｣と楽しそうだった。

　大学を休学して世界旅行中という斉藤陸さんは、フロリダで試合を知り、次の目的地をカナダ・トロントから急きょニューヨークに変更。花巻東高校時代から大谷選手のファンだそうで｢本当にラッキー｣と興奮気味に語った。

　ニューヨーク州東部から約３時間半かけて来たマイク・ドゥーリンさんは、ヤンキースの勝利を喜び、田中投手について｢彼の投球を見るのが好きだ。非常に良い投手だ｣と称賛した。

田中の好投に賛辞

　快勝に大きく貢献した田中の好投を、ヤンキースの監督やチームメートもたたえた。ブーン監督は｢いい仕事をしてくれた。大谷との対戦は見ていて面白かった｣と笑顔。バッテリーを組んだ捕手のサンチェスは｢とにかくストライクを先行させて、攻撃的にいこうと話していた。いい球を投げてくれた｣と満足そうだった。

　無安打に抑え込まれたエンゼルスのトラウトも｢田中との対戦はいつもバランスを崩されるから大変だ｣と脱帽した。