一関・平泉

守り伝え次の100年へ 毛越寺本堂落慶30年 記念法要、仏師が講演【平泉】

檀家や町内外の関係者らが参列し、本堂で営まれた記念法要

 平泉町にある毛越寺(藤里明久貫主)の本堂落慶30年記念法要は9日、同寺で営まれた。一山の僧侶による読経が堂内に響き渡る中、参列者が1人ずつ仏前で手を合わせて落慶30年の節目を祝ったほか、同寺の仏像修復を手掛けた仏師による記念講演も行われた。

 現在の本堂は、同町名誉町民で東京大名誉教授だった故藤島亥治郎氏が基本設計を担当し、1987年に建設着手。平安朝を思わせる丹(に)塗りの柱に極彩色の復元的創作を施した木造一部鉄骨造り、延べ床面積では当時国内最大級となる約580平方メートルで89年に完成し、同年6月11日に落慶法要が営まれている。

 記念法要には一山の僧侶をはじめ、檀家(だんか)や町内外の関係者、招待者ら約100人が参列。本尊の薬師如来坐像を前に、僧侶が読経しながら花びらをかたどった紙片をまく散華(さんげ)などを行った。

 藤里貫主は法話で、先人からの長年の悲願だった現在の本堂落慶までの経緯に触れた上で「建物を造るだけではなく、皆さんの思いを後世に伝えていくためにも、新しい人材を育てる根本道場として使わせていただく。先人から受け継いだ1150年の歴史ある文化財を、今後も100年、200年と守り伝えていく」と語った。

▲仏像の種類やその違いについて語る石川さん

 記念講演では、一関市大東町の京仏師石川昇明さんが「佛様のお姿と功徳」と題し、親より先に命を落とした幼い子供の霊を救う仏として信仰される地蔵菩薩(ぼさつ)をはじめとする仏像の種類や違いを解説。東日本大震災後に陸前高田市の17寺院へ仏像を寄贈した活動を振り返り、「自分がここまで続けてこられたのは多くの方の支援や協力があるが、中でも収入がないときに自分や家族を支えてくれた妻には感謝している」と語った。

 石川さんには、毛越寺の日光・月光菩薩や慈覚大師像などの修復に携わったとして、同寺から感謝状が贈られた。

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