一関・平泉

「雨上がり」晴れの栄誉 一関の友禅作家 菅原高幸さん 日本伝統工芸展 奨励賞を受賞

日本伝統工芸展の工芸会奨励賞を受賞した菅原高幸さん(右)と妻の真由美さん

 一関市新大町の友禅作家・菅原高幸さん(45)は、日本工芸会などが主催する第65回日本伝統工芸展に出品した友禅訪問着「雨上がり」が日本工芸会奨励賞を受賞した。工芸の世界に生きる人ならば誰もが目指す公募展で悲願の入賞を果たし、制作を支える妻の真由美さん(43)とともに喜びを分かち合っている。

 菅原さんは、一関市出身。武蔵野美術大で日本画を学び、卒業後は友禅作家の安達雅一さんに師事し、4年間基礎技術を磨いた。2000年に帰郷し、京呉服すがわらの3代目として家業の呉服店を継いだ。自身で制作した着物を販売する傍ら、県内外の公募展に出品。岩手工芸美術展工芸大賞や東日本工芸展での本県知事賞など数々の受賞歴を持つ。

▲第65回日本伝統工芸展に出品した友禅訪問着「雨上がり」。雨の後のブナ林に漂う澄んだ空気やにおいを表現した

 今回の出品作は、雨の後のブナ林の澄んだ空気やにおいなどをテーマに制作。前作で第58回東日本工芸展で入賞した「そよ風」と同じく、形のないものを表現した。制作期間は4カ月に及んだが、そのうち1カ月は図案決めに費やした。着物を着た時にきれいに見えるような構図や配色にこだわったという。日本伝統工芸展では、応募1517点の中から雨上がりなど16点が入賞した。

 季節などは決めずに「身近な場所からモチーフを探し、きれいだなと感激したイメージを再構築した作品」で、ブナの幹を後身頃に集め、淡い緑の葉を両袖全体に描いた。雨上がりの空気は薄い青の点で表現し、全体的に温かな印象に仕上げた。

 菅原さんは今回の受賞を「とにかく驚いた」とし、「大学在籍時に同級生たちと誰が一番最初に入賞するかと話したこともあった」と懐かしむ。「表現の幅を広げるため試行錯誤してきたが、ようやく形になってきたと感じていた時に受賞できた。これを糧に今後の制作に打ち込みたい」と気持ちを新たにする。

 制作をサポートした真由美さんは「主人が以前からずっと目標にしてきた作品展での受賞。素直にうれしいし、誇らしく思う」と語った。

 雨上がりをはじめ入賞、入選作品は19日から10月1日まで日本橋三越本店で展示され、その後全国11会場を巡回。東北では仙台市の仙台三越で2019年1月23~29日に予定されている。

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