県内外

西澤氏(県立大初代学長)死去 92歳

 光通信や半導体技術などの世界的権威で、元東北大学長の西澤潤一(にしざわ・じゅんいち)氏が21日、死去した。92歳だった。同大が26日、明らかにした。

 仙台市出身。1948年に東北大工学部電気工学科を卒業後、大学院でトランジスタの研究を始めた。50年代から「pinダイオード」「静電誘導トランジスタ」など画期的な素子を次々に発明。半導体研究を先導し、「ミスター半導体」と呼ばれた。

 光通信技術の可能性にいち早く着目し、54年までに電気信号を光に変換する半導体レーザー、大容量の光信号を長距離伝送する集束型光ファイバー、光信号を電気信号に変えるフォトダイオードを発明した。これらは光通信の三大要素とされ、半導体技術とともに、現代のIT社会を支える技術的基盤を築いた。

 83年に文化功労者、89年に文化勲章を受章。東北大学長を務めた後、岩手県立大の初代学長や首都大学東京学長などを歴任した。業績は海外でも高く評価され、2000年に米電気電子学会(IEEE)のエジソン賞を日本人で初めて受賞。IEEEは半導体材料や装置で優れた業績を挙げた研究者をたたえる「ジュンイチ・ニシザワ・メダル」を創設した。

【時事】

逝去を悼む達増知事、鈴木学長がコメント

 西澤氏の死去を受け、達増拓也知事と鈴木厚人県立大学長がコメントを出した。

 達増知事は「県立大の初代学長として、有為な人材の育成に努められるとともに、大学院の設置に尽力するなど、本県高等教育の振興や岩手の産業界の発展に貢献された。西澤先生が不帰の人となられたことは残念でなりません」としのんだ。

 鈴木学長は「西澤先生の大学教育に懸ける思いの詰まった建学理念を徹底し、県民の大学として、さらなる発展を成し遂げることが私たちの使命と考えます。ご冥福をお祈りいたします」と悼んだ。

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