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ますむら作品 ファンを魅了 県立美術館企画展「アタゴオルと北斎と賢治」【岩手】

「尾州不二見原(富獄三十六景)」(2010年、水彩・インク、イラストボード、36・4×51・8センチ)Ⓒますむら・ひろし

 県立美術館の企画展「ますむらひろし展~アタゴオルと北斎と賢治~」が、盛岡市本宮の同館で開かれている。服を着て二本足で歩く太った猫ヒデヨシが登場する漫画で知られるますむら氏。漫画原稿をはじめ、創作ノートや作中の小道具の参考資料、作家自身が所蔵する鉱物や小道具など500点を超える資料が展示され、多くのファンでにぎわっている。

▲「銀河鉄道の夜」(1983年、水彩・インク、イラストボード、51・5×36・4センチ)Ⓒますむら・ひろし

 ますむら氏は、1952年山形県米沢市生まれ、千葉県在住。宮沢賢治の童話を猫の登場人物で漫画化したシリーズや、アニメーション映画「銀河鉄道の夜」(杉井ギサブロー監督)の漫画原作者としても知られる。

 70年代からは、賢治の心象世界イーハトーブに呼応してますむら氏が作り上げた猫と人間の理想郷を舞台に傍若無人な主人公の猫ヒデヨシが騒動を巻き起こす漫画「アタゴオル」シリーズを制作。2005年からは、アタゴオルの住人が葛飾北斎が描く名勝景勝地の浮世絵に溶け込んだイラスト「アタゴオル×北斎」を発表した。

 企画展ではアタゴオルシリーズや、アタゴオルの世界と北斎の浮世絵が合体したシリーズ、賢治童話を猫の登場人物で漫画化したシリーズなどを5章構成で紹介している。

 「尾州不二見原(富獄三十六景)」は中央に大きなおけの円があり、その中に富士山が小さく見える構図。おけの側面の板に猫型の組木を入れ、おけを作るヒデヨシが見る人にユーモラスな雰囲気を与える。

 「虔十公園林」はますむら氏が小学生の頃に初めて読み、大人になってから半年がかりで仕上げたという賢治の童話を漫画化した近年の作品の一つ。子供たちからばかにされている少年虔十が野原に杉の種をまき育てようとする物語で、12日のギャラリートークでますむら氏は賢治の世界を詳細に表すことを試みたといい「この頃、何を考えていたか賢治の感情をいまさらながら面白いと感じた作品だった」と振り返った。

▲ギャラリートークで「虔十公園林」について解説するますむら氏

 展示は2月17日まで。午前9時から午後6時。休館日は月曜(2月11日は開館)と12日。観覧料は一般1000円、高校生・学生600円、小中学生400円。

momottoメモ

こっそり行ってみた【ますむらひろし展】

 岩手県立美術館で開催中の「ますむらひろし展―アタゴオルと北斎と賢治と―」。1月26日、アタゴオルのヒデヨシに会うため、美術館を訪ねました。

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