花巻

はなまき映像祭開幕 障害者追った作品上映 制作者のトークショーも

はなまき映像祭トークショーで話す伊勢監督(左)

 良質なドキュメンタリー映画が観賞できる「はなまき映像祭2019」は8日、花巻市矢沢のアートスペース・ブドリ舎で開幕した。初日は伊勢真一監督(いせフィルム)の1999年作品「えんとこ」と、その続編となる最新作「えんとこの歌」を上映。伊勢監督らによるトークショーも行われ、映画ファンが花巻の初夏恒例のイベントを楽しんだ。同祭は9日まで。

 2002年から同市のイーハトーブ・アート・ステーションの会(IASの会)主催で開かれ、市内外のファンに人気の映画祭。これまでにも、知的障害などがある少女を長期間記録した「奈緒ちゃん」、認知症グループホームの日々を描いた「ゆめのほとり」といったヒューマン・ドキュメンタリーの傑作を数多く紹介している。

 初日の「えんとこの歌」は、脳性まひで寝たきり生活を送る歌人・遠藤滋さん=東京都=と、その生活を介助する周囲の人々を記録した作品。遠藤さんの紡ぐ言葉にさまざまな反応を示す若者たちや、自らも画面に登場して温かな視線を送る伊勢監督の姿が、遠藤さんの「激しくも わが拠り所 探りきて 障害持つ身に 『いのちにありがたう』」といった短歌と交錯しつつ描かれ、観賞者の感動を誘っていた。

 上映後は、伊勢監督が「タイマグラばあちゃん」の澄川嘉彦監督=同市東和町=とトークショーを展開。一つの対象(遠藤さんら)を長期間追い続けた自作について「いまのテンポの速い時代、常に新しい物に流れて行きがちだが、同じ物を何度も見て、体験していくことが大切なのではないかと感じている。一つのことを思い続けるのが物を考えるということではないか。一人でも多くの人に、他人ごとではなく自分の事として見てもらえたら」などと、障害者施設で発生した凶悪事件にも言及しつつ語っていた。

 最終日の9日は「えんとこの歌」と澄川監督の2作品が上映される予定。入場料1000円で中学生以下無料。日程は次の通り。

 ▽午前10時「タイマグラばあちゃん」▽午後1時「移住者と共に」=澄川監督▽同2時30分「えんとこの歌」

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