一関・平泉

大東・東川院蔵国重文指定 12世紀作 美しき姿態 市博物館企画展 木造観音菩薩坐像公開【一関】

一関市博物館第26回企画展で公開されている東川院の木造観音菩薩坐像

 一関市博物館(菊池勇夫館長)の第26回企画展「国指定重要文化財 東川院蔵 木造観音菩薩(ぼさつ)坐像とその周辺」は、同市厳美町の同館で開かれている。2018年10月に国重要文化財に指定された東川院(同市大東町渋民)所蔵の木造観音菩薩坐像を、指定後初めて一般公開。奥州藤原氏の時代から伝わる美しい姿で来館者を魅了している。9月23日まで。

 重要文化財指定を記念した企画展で、同像とともに市内の同時期の仏像など合わせて24点を展示。会場では「東川院の什宝(じゅうほう)」と銘打ち同院の他の仏像を紹介。県指定有形文化財の木造来迎阿弥陀及(および)菩薩像(通称・二十五菩薩像、同市東山町松川)の一部と願成寺(同市字釣山)の木造薬師如来坐像なども並んでいる。

 東川院は1897(明治30)年に栗原郡宮沢村(現宮城県大崎市)の稲荷山東川院と、いずれも一関市大東町渋民の金谷山長寿寺、弥陀有頂山観音寺の三寺が統合して誕生。木像観音菩薩坐像は観音寺伝来の仏像で、奥州藤原三代による寺院造営に携わった仏師によって12世紀に制作されたと推定されている。保存状態は極めて良く、両手指先まで造立当時のものが残っており、貴重とされている。

 21日には展示解説会も開かれ、同館の鈴木弘太主任学芸員による仏像の特徴や東川院の歴史などの説明に約70人の参加者が耳を傾けた。同市大東町渋民の菊池徳夫さん(82)は「多くの人に地元に残る貴重な文化財を見てもらうことができて感慨深い」と語っていた。

 同館学芸員による展示解説会は8月31日(午後3時10分~4時)と9月15日(午前10時30分~11時15分、午後1時30分~午後3時)にも実施。

 期間中はほかに、8月31日に「旧東磐井郡域とその周辺に見られる十二世紀代の仏像の多様性」、9月15日に「東川院木造観音菩薩坐像と大東の中世」をテーマにした講演会(ともに午後1~3時)も予定している。

 開館時間は午前9時~午後5時(入館は4時30分)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は一般300円、高校・大学生200円、中学生以下無料。

 問い合わせは同館=0191(29)3180=へ。

藤原秀衡の時代と推定 文化財調査官 井上さん講演
▲木造観音菩薩坐像の特徴を説明する井上さん

 一関市博物館の企画展に合わせ21日、講演会が開かれ、文化庁文化財調査官の井上大樹さんが木造観音菩薩坐像と他の仏像の特徴を比較した上で「木造観音菩薩坐像の制作年代は藤原秀衡の時代と推定される」と語った。

 市民ら約100人が聴講。井上さんは木造観音菩薩坐像について「針葉樹材による寄せ木造りで、本体像高は114・3センチ。一部は修理された跡が見られる」と説明した。

 特徴として「上半身は細身でなで肩、両脚のふくらはぎは起伏がなく平ら。目尻は多少つり上がっている」と指摘。平泉町の中尊寺金色堂内の諸仏の制作年代が三つに分かれるとする近年の研究成果を踏まえ、身体的特徴が藤原氏2代基衡の時代に似ている一方、表情や台座の意匠、胴体と首の接合部の施工方法などを加味すると、平安時代末期の「1170~80年代の作ではないか」と推察した。

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