一関・平泉

被害防止へ一肌脱ぐ 一関署管内 特殊詐欺に注意喚起 ヤクルトレディがチラシ配布

一関署が作製し、ヤクルトレディが配布しているチラシ。特殊詐欺が疑われる六つの言葉を紹介している

 警察などをかたる手口で現金をだまし取る特殊詐欺の被害を食い止めようと、一関署は岩手ヤクルト販売一関支店と協力して広報活動を展開している。署員が詐欺の予兆とみられる不審な電話でよく聞かれる言葉を一覧にしてチラシを作製し、乳酸菌飲料などを訪問販売しているヤクルトレディが顧客に配布するという取り組み。同署はヤクルトレディからの情報を参考にチラシをより分かりやすく改良し、地域住民に注意を促す方針だ。

 18日には一関市三関の同支店でヤクルトレディへの研修会が開かれた。同署一関駅前交番の鎌田秀寿巡査部長と木村成巡査が特殊詐欺被害の主な手口などを説明したのに対し、ヤクルトレディ20人がチラシを受け取った顧客の反応を伝えた。

 ヤクルトレディからはチラシの文字は大きい方が目に付きやすいという意見や、不審な電話を受けたという顧客に警察への通報を勧めたことなどが報告され「特殊詐欺の被害状況を知らない人が結構多いと感じた。早い段階で知れ渡るような方法はないか」といった声も聞かれた。同署側は「よく分からない電話は切っていい。警察などを名乗る相手には身分を確認してほしい」「情報を広めても見ない人もいるので口を酸っぱくして注意していくしかない。警察だけでは手に負えず皆さんの力を借りたい」と引き続き協力を求めた。

 この活動は、同交番所員が日ごろ出入りしているヤクルトレディに相談した上で同支店に協力を依頼したことがきっかけ。チラシははがきより小さめの持ち歩きやすいサイズで、不審な人や電話から▽キャッシュカード▽暗証番号▽口座▽保険料▽還付金▽ATM-という六つの言葉が聞かれたら詐欺が疑われるとして注意を促している。

 県内で今年8月末までに認知された特殊詐欺被害は前年同期比29件増の46件で、被害額は約1億4000万円に上っている。同署管内では6件、972万円の被害が確認されており、キャッシュカードを言葉巧みに奪って口座から現金を引き出す手口が目立つ。

 阿部豊支店長は「健康だけでなく生活のためになる情報を地域に提供し貢献したい」、及川美和マネジャーは「被害額が想像以上で驚いた。お客さまと密に接しながら知らせたい」と話し、同署生活安全課の渡邉浩志課長は「地域住民に健康と安全を届けてもらいたい」と期待していた。

▲特殊詐欺被害防止に向けた研修会で、岩手ヤクルト販売一関支店のヤクルトレディに手口を説明する一関署の(右から)木村巡査と鎌田巡査部長

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