県内外

月刊モモット 2019年11月号

連載企画「いわて百景」完結特集

 今月の月刊モモットは特別紙面でお届けします。本紙の企画記事「いわて百景」が4日の「磐井川」をもって、文字通り100カ所目の紹介となり連載が完結しました。本企画は2016年7月1日に「いわにちAR連動企画」としてスタートしました。県内の観光スポットなどを、動画を交えて魅力的に伝えようというもので、第1景は「宮沢賢治童話村のライトアップ」でした。今回は「百景」達成を記念し、第27景「二清院」(奥州市)から専任担当となったデジタルコンテンツ室の千葉剛之記者が取材を振り返ります。

魅力尽きぬ大地

 取材を通して特に心に残っている場所を振り返ってみたい。

 まずは一関市大東町の「小黒滝」。それほど大きな滝ではないが、岩の配置に風情があり、四季折々に趣のある表情が楽しめる。

 八幡平市の「焼走り溶岩流」も鮮明に記憶している。取材日は猛暑で、照り付ける太陽によって熱せられた褐色の大地は、足の裏に耐え難い熱が伝わり本物のマグマのように思えた。

 冬季では花巻市石鳥谷町の「たろし滝」と、西和賀町の「雪あかり」だ。日中に「たろし滝」を撮影し、その足で「雪あかり」を取材した。どちらも記者が暮らす一関市とは比べものにならないくらいの厳しい寒さと雪深さ。車で移動中も吹雪に遭い難儀したが、その雪や寒さを地域おこしの「資源」として活用する地元の人々の姿勢に胸が熱くなった。

 「マイベスト」を挙げるとすれば、遠野市の「雲海」だ。寒い季節に条件が整った時にのみ出現するもので、めったに見ることはできない。雲海の発生確率を予想するサイトの情報を参考に10月下旬、「発生確率86%」という日に狙いを定めた。午前2時に一関を出発し、4時すぎに雲海の絶景ポイントである高清水山に到着した。小一時間ほど待つと、うっすらともやのようなものが漂い始めた。次第に幾つかの固まり状になったかと思うと、一気に厚みを増して見事な雲海と化し、遠野の街をすっかり覆ってしまった。壮大な景色に見ほれてしまい、カメラのシャッターを切り忘れそうになった。

 宮沢賢治の童話「風の又三郎」のモデル地ともいわれる奥州市の「種山高原星座の森」や、復興の歩みが感じられた三陸沿岸の景色、各地の桜や紅葉も心に刻まれている。

▲「いわて百景」掲載マップ
ぜひ「マイ百景」を!

 訪れたのは県内33市町村のうち21市町。一関が出発点のため、岩手の大地の広さをいやが応でも実感した。手付かずの自然が織り成す美しい紅葉、巨大なインフラ「国道343号ループ橋」、宮沢賢治や斎藤實、井上ひさしら偉人先人ゆかりの地、悠久の時を経て形作られた北上川や大小の飛瀑(ひばく)など時間的、地理的奥深さが故郷・岩手にはある。

 もちろん100カ所紹介しただけでは「岩手の魅力」は語り尽くせない。読者の皆さんも県内各地を訪ね歩き「マイ百景」を選び出してはいかがだろう。

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