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高度技術で原因探る 体調不良のイヌワシ診察 岩手大と未来創る医師団

高度な技術を用いて希少なニホンイヌワシを診察する未来を創るどうぶつ医師団の獣医師ら

 盛岡市を拠点に動物園・水族館の動物医療の充実を図る「未来を創るどうぶつ医師団」は15日、盛岡市動物公園で飼育する希少なニホンイヌワシの診察を報道公開した。同公園の診療のみでは体調不良の原因が分からず、完治に至らなかったため、同医師団が診察を引き受けた。同日は岩手大農学部附属動物病院水族館動物診療科と共同で検査を行い、高度な技術と設備を駆使して原因解明に努めた。

 同医師団は10月、資金や技術が不足し高度な診療が困難な動物園や水族館の医療充実を目的に設立。理事長の福井大祐岩手大農学部共同獣医学科准教授をはじめ、専門知識を持つ獣医師らが所属している。

 今回検査を受けたのは、国内の生息数が約500羽とされるニホンイヌワシの「出羽(でわ)」(雄、20歳)。7月下旬から咳と食欲低下が見られるようになり、同公園の獣医師がレントゲン検査などを実施。抗生剤の投与などを経て咳は徐々に落ち着いてきたものの、完全な回復と原因解明には至らなかった。

 同日は同市上田の同病院にニホンイヌワシが運ばれ、同医師団の獣医師4人と同病院の動物看護師らが診察に当たった。鋭い爪を振って興奮するイヌワシに鎮静剤を打ち、血液検査や細菌検査を実施。気管内視鏡検査やCTスキャンを通じて体内の状態を確認し、真剣な表情で原因を分析していた。

 今回の診察に係る費用は1回約5万円だが、同医師団の関係者が負担した。今後も同公園を含め、県内外の動物園や水族館の要請を受けて診察を行う予定といい、インターネットのクラウドファンディングで資金を募っている。目標額は350万円。福井理事長は「動物園や水族館にはレジャーだけでなく、動物保全という役割がある。市民らの協力を得て医療を充実させ、未来に動物たちを残していかなければならない」と語っていた。

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