一関・平泉

暖冬影響各所に 農家 春の水不足懸念 除雪用品不調、ゴルフ場は恩恵【一関】

雪不足の影響で、コース周辺では一部地表があらわになっている

 暖冬が続き、一関地方でも雪不足の状態となっている。降雪量は平年より大幅に少なく、農業関係では作物の単価変動や春先以降の農業用水の確保を懸念する声が上がっており、除雪用品の販売も低迷するなど、各方面で影響が出ている。

 盛岡地方気象台によると、一関、千厩とも4年ぶりに1月の真冬日(最高気温が0度未満)ゼロを記録。31日午後5時現在の積雪深は一関ゼロ、祭畤では17センチと平年の19%にとどまっている。

 農業関係では、ハウス栽培の葉物が順調に栽培できる状況にある一方、ホウレンソウなどは市場に多く出回っており、JAいわて平泉の渡邉満明営農振興課長は「例年に比べて単価安で、生産者にとっては良いとは言えない」と現状を分析。雪解け水の不足が見込まれることで、春先以降の作付けが不安視され、照井土地改良区の阿部洋一事務局次長は「例年通り適切な配水ができるかどうか危惧しており、農家の人たちも心配している」と語る。

 ホームセンターでは、スノーダンプやスコップ、融雪剤など除雪関連用品の売り上げが昨年12月、今年1月ともに大幅に減少。ホーマック一関店(一関市山目)、コメリハード&グリーン一関店(同市上日照)ともに冬の主力商品の落ち込みに頭を抱えている。

 雪不足で恩恵を受けたのがゴルフ場。一関カントリークラブ(同市萩荘)、南岩手カントリークラブ(同市花泉町)ともに1月の営業日は、1週間程度だった昨年に比べ、今年は約3週間で、利用客も大きく伸びた。

 一方、例年は覆われている雪で保護されている芝の傷みが進むことや、散布する地下水が確保できるかなどの問題もあるという。

 仙台管区気象台が1月30日に発表した東北地方の向こう1カ月予報(1~29日)によると、日本付近は寒気が南下しにくい状況で、気温は平年より高く晴れの日が多い見込みで、暖冬傾向が続きそうだ。

降雪を切望 祭畤スノーランド 1月来場者900人減

 一関市厳美町の祭畤スノーランドでは、コースの一部が滑走できない状況で、関係者はまとまった雪を切望している。

 同ランドでは昨年12月22日に今季の営業を開始したが、積雪不足のため年をまたいでようやく1月3日に初・中級向けの南コースが滑走可能となった。

 その後は40~50センチの積雪深が数日続いたが、まとまった雪はなく、31日まで南コースは滑走可能だった一方、中・上級者向けの北コースは先月3日以降利用できたのは12日間のみで、1月の来場者数は昨年同期を900人ほど下回った。

 9日に開催予定だった第14回一関市民スキー大会は中止が決まったほか、このまま雪が降らなければ2月以降に同ランドで予定されているスキー教室などの開催も危ぶまれている。

 同ランドの小野寺義廣所長は「年をまたいでからの滑走開始は今までにもあったが、開始後もこれだけ雪がないのは今までにない。毎年楽しみに来てくれる人も多いので、早くまとまった雪が降ってほしい」と願っている。

あす予定の整備作業中止 祭畤スノーパーク

 一関市厳美町地内に、新たな冬の遊び場として「祭畤スノーパーク」の整備を計画している一般社団法人世界遺産平泉・一関DMOなど観光関係機関・団体は、2日に予定していた整備作業を雪不足のために中止することを決めた。

 各団体では、閑散期にインバウンド(訪日外国人旅行者)を呼び込もうと、対策として台湾を中心に人気が高い雪遊びを楽しんでもらうため、例年豊富な雪に恵まれる同市厳美町の祭畤地区に、巨大滑り台や雪合戦広場などを備えたスノーパークの整備を計画。当初1月18日に予定していた会場設営作業を雪不足で今月2日に延期したが、その後も積雪が少なく、スノーパークを整備するための雪も足りないことから作業を中止することとした。

 今後は積雪が増えた場合に整備作業に取り組む予定。

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