奥州・金ケ崎

大正天皇とゆかり深く 垣間見る夫妻の交流 斎藤實記念館企画展【奥州】

斎藤實記念館で開かれている企画展「皇室と斎藤實夫妻」

 奥州市水沢の斎藤實記念館は、2020年企画展「皇室と斎藤實夫妻~激動の時代・大正~」を開いている。昭和、明治と続いた企画展で、大正天皇の即位の礼などに関連する資料、朝鮮李王家と関わりのある資料が展示され、斎藤夫妻とのゆかりの深さに来館者が感心して見入っている。5月31日まで。

 斎藤が初めて大正天皇に拝謁したのは、1894年日清戦争の侍従武官として大本営で明治天皇に供奉していた際。明治天皇を訪問した皇太子だった大正天皇を出迎え、お供をするなどしたことが「斎藤實日記」に残されている。日記について、同館の及川泉学芸調査員は「お二人が親子らしい時間を過ごした記録」とし、「そうした出会いがあり、斎藤に対する思いは深かったのではないか」としている。

 今回は、収蔵資料から31点を展示。1914年3月に海軍大臣を辞した際に下賜された「御紋付銀鉢」、翌年京都御所で行われた即位の礼に参列した際の大礼記念章、大饗の儀の「華挿(かざし)」、夜宴の際の「八稜鏡形鳳凰文ボンボニエール」などとともに、夜宴の招待状と参内券を初めて展示した。

 このほか「大正天皇銀婚式祝賀会メニュー」「大正天皇大婚二十五年記念はがき」も初めて公開されたが、メニューには斎藤が手書きした席順が見られる。下賜された品々が収められていた箱にも斎藤が日付や品名などを書き留めている。皇室に関連する記念はがきも斎藤がファイル化した3冊が保存されており、「斎藤の几帳面(きちょうめん)さが表われている」と及川学芸調査員は語っている。

 また、李王家との関係では、当時皇子で日本に留学していた李垠・方子夫妻の結婚式に招かれたほか、朝鮮総督として里帰りした夫妻を出迎え、李王となった後も親交が続いたという。今回は李王家から斎藤が受けたボンボニエール12点、1950年に春子夫人が受け取った書簡などがあり来館者の目を引いている。

 及川学芸調査員は「大正天皇は親密さを感じられていた。また李王家も総督だった斎藤夫妻に信頼をかけ、ジュネーブ軍縮会議でも李王夫妻主催の名目で實が晩さん会を開くなど親密さを感じていた。資料を見てもらい、皇室と斎藤夫妻との交流を垣間見てもらいたい」と話している。

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