北上・西和賀

苦渋の中止 北上展勝地さくらまつり 新型コロナ警戒 経済、観光への影響懸念

多くの人でにぎわう北上展勝地さくらまつり=2019年4月21日

 北上展勝地さくらまつり実行委員会(会長・八重樫守民北上観光コンベンション協会長)は13日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、北上市立花の市立公園展勝地などで開催予定だった同まつりの中止を決めた。公園で自由に桜を観賞できるが、感染拡大防止のためイベント開催や屋台の出店は見送る。例年、海外を含む県内外から40万人余りが来場する同まつりの中止は市内の宿泊観光、飲食など各方面への経済的影響が懸念される。

 同協会や市、北上商工会議所、市旅館ホテル組合、北上料飲店組合、交通事業者、地元自治会など33団体で構成する実行委は今年も4月15日~5月6日の開催へ準備を進めていたが、ウイルスの感染拡大を受け対応を協議。現時点で県内での発症者は確認されていないものの、国内をはじめ世界各地で感染が急拡大する中で状況好転の見通しが立たず、予防と感染拡大防止、来場者と関係者の健康と安全確保へ中止を決めた。

 実行委事務局は「県内外や海外からの観光客を万全な体制で受け入れるのは困難。屋外であってもイベントや屋店に人は集まる。リスクを減らすのが現在求められる最大の対策」と説明。「市内経済、観光面への影響の懸念はあるがやむを得ない。お客さまにも旅行の計画があり、早めの判断が望ましい」とし、開幕1カ月前に決断した。中止は東日本大震災が発生した2011年以来9年ぶり。

 駐車場と公園は無料開放するが、例年の北上川渡し舟や観光遊覧船の運航や、シャトルバスの運行はない。鬼剣舞公演や観光馬車、ライトアップなどのイベントもなく、屋台や臨時案内所も設けない。

 一方、公園内の展勝地レストハウスや隣接するみちのく民俗村、市立博物館は通常通り営業、開館する。珊瑚橋での交通規制はしないものの桜のピーク時は駐車場に警備員を配置し、誘導に当たる。

 来年の展勝地開園100周年を控え、実行委は今年を「プレ」と位置付けていた。例年、まつりは飲食や宿泊、物販、交通など各方面に経済効果をもたらしていただけに、中止は大きな痛手となりそうだ。八重樫会長は「内部でも議論したが、沈静化しておらず先が分からない状況では仕方ない。影響はかなりあり苦渋の決断だが、これを逆手に100周年に向けて準備していきたい」と話した。

 髙橋敏彦市長も「例年、バスでの来訪が一日何十台とあり、これで感染が広がる可能性があるだけにやむを得ない。40万人のイベントがなくなるのは大変寂しいが、100周年は別の機会でPRする。飲食やホテルなどでだいぶキャンセルが多く、しっかりとサポートしたい」と述べた。

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