一関・平泉

葬儀 新たな様式模索 参列者受け入れに苦慮 県内業者「オンライン」環境整備も【一関】

一関市千厩町の葬祭会館。密にならないように椅子の間隔を広げ、オンライン中継用の設備も備える

 新型コロナウイルスの感染収束が見えない中、葬儀を執り行う葬祭業者が対応に苦慮している。全国を対象にした緊急事態宣言の解除を受けて経済活動は各地で再開されたが、首都圏など遠方からの参列者の受け入れについては現場に判断が委ねられている。県葬祭業協同組合では「各地域で葬儀の風俗や習慣、葬送儀礼も異なり、意識の違いもあるので一概には判断できない」と苦しい内情をのぞかせる。

 一関市や陸前高田市など8カ所で葬祭会館を運営するセレモールあおやぎ(青柳均代表取締役社長)では、新型コロナの感染拡大が確認されてから、家族葬にするなど葬儀の規模を縮小し、県を越えて来る人や、せき、発熱などの症状のある人の出席を自粛してもらうなどの対応を取っている。2月に完成した一関市千厩町千厩字舘山の葬祭会館では、葬儀の様子を中継する「オンライン葬儀」に対応できるようインターネット環境を整えた。

 現在のところオンライン葬儀の予定はないが、県葬祭業協同組合理事長を務める青柳社長は「新型コロナによって葬儀とは何かが問われている。ナイーブな問題なので、仮にオンラインで参列したとして、それで供養になるのかという心理的な問題もある」と、これまでの形を変えることに疑問を呈する。

 同組合には、首都圏から帰省しての参列に関する問い合わせも寄せられているが、判断はそれぞれの業者と遺族に任されている状況。青柳社長は「岩手ではまだ感染者が出ていないので、過敏になっている人がいるのも確か。人々の心や絆、つながり、地域との結び付きを失わず、新しい生活様式の中での葬儀を模索していかなければならない」と語り、早期の収束を願っている。

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