一関・平泉

驚嘆、無人田植え機 スマート農業推進へ一役 県内初の実演会【一関】

「ロボット田植え機実演会」で公開された無人仕様の田植え機。基盤整備された圃場に苗が植えられた

 ロボットやリモートセンシング技術を活用するスマート農業の推進に向け、最新式の農業機械を紹介する「ロボット田植え機実演会」が23日、一関市萩荘字古内地内の圃場(ほじょう)で開かれた。農業者の高齢化や労働力不足などを補う方策として、無人仕様の田植え機が県内で初めて公開されるなどし、見学者が理解を深めた。

 実演会は、基盤整備後の圃場で初めて田植えが行われるのに合わせ、中山間地でスマート農業を実証する機会として企画された。地元の西黒沢営農組合から依頼を受け、みちのくクボタ一関店が協力して実現。農業者や県、JAいわて平泉、照井土地改良区の関係者ら約100人が見学した。

 公開されたのは、有人仕様と無人仕様の田植え機、空中から薬剤を散布する農業用ドローン(小型無人飛行機)、斜面の除草などに利用できるラジコン草刈り機、遠隔操作できる水管理システムで、みちのくクボタ社員が操縦してみせた。

 このうち、無人仕様の田植え機による実演は県内で初めてとなり、見学者の注目を集めた。人が搭乗しなくても自動運転機能で圃場を走行・旋回し、田植えを進める様子が披露され、見学者は「速い」「すごい」などと驚きの声を上げた。

 一関農業改良普及センターの臼井智彦主査農業普及員は、スマート農業の利点を「ベテラン農家がリタイアしても農業を継続でき、担い手不足の解消が期待される」と指摘。国はスマート農業の加速化を図ろうと技術開発・実証事業を推進しており、本県でも5月に北上市で有人仕様の田植え機による実演会が県南広域振興局花巻農林振興センター主催で開かれた。みちのくクボタの石田善孝執行役員は「県などの依頼で実証を手伝いながら農家にPRできればいい」と話していた。

 西黒沢営農組合の菅原正彦組合長によると、管内では5・46ヘクタールの圃場で基盤整備が完了し、今年はホールクロップサイレージ用稲を栽培する。しかし、圃場を人に貸したい、後継者もいない農家は多く、個人の農機も老朽化している。実演会見学後、菅原組合長は「素晴らしい機械で、あれば最高だが値段も気になる。一人よりも組合で買った方がよく、スマート農業をするにしても法人化後になるだろう」と展望を語った。

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