北上・西和賀

スモール ジャイアンツアワード 岩手製鉄(和賀町)が特別賞 北海道・東北ブロック 鋳鉄フライパン高評価【北上】

オリジナルの鋳鉄製品「ダクタイルパン」を手に、特別賞受賞を喜ぶ岩手製鉄の佐藤社長(中央)ら

 北上市和賀町藤根の岩手製鉄(佐藤満義社長)は、「スモール ジャイアンツアワード2021」北海道・東北ブロックで特別賞のクラフトマンシップ賞を受賞した。同社が新たに一般の顧客向けに乗り出した鉄器事業で、独自に開発したオリジナルの鋳鉄フライパン「ダクタイルパン」の売上げが急増。ブランド力を高め、世界に通用する商品として高い期待感が示された。

 同アワードは経済雑誌・ForbesJAPANが主催。創業10年以上で従業員数500人以下などの企業を対象に2017年に始まり、小規模ながらグローバルに飛躍する大きな可能性を秘めた企業を表彰している。

 全国4ブロックで実施され、北海道・東北ブロックには約100社が参加。今月2日にオンライン形式で行われ、佐藤社長が同社の取り組みなどを発表した。大賞は逃したものの、上位4社に贈られる特別賞の一つに輝いた。

 同社は1949年設立。創業当初の製鉄業から鋳物、エンジニアリングの両事業に事業転換した。両事業では受注した部品などをメーカーに納品する一方、顧客への直接販売へ2016年度に鉄器事業へ進出。これまで同社が培った高い技術力を生かし、従来の鋳鉄製品にはない軽く、さびにくく、焦げ付きにくい「ダクタイルパン」を製品化。18年度に販売を開始した。

 同社は従業員72人。鉄器事業には15人が携わる。新型コロナウイルス感染拡大でデパートや専門店などでの販売が難しい中、インターネット交流サイト(SNS)などで顧客とやりとりし、ネット販売を強化。20年度の売り上げは1万枚を超え、1億5000万円ほどへ急伸が見込まれる。

 審査員は「(受注から顧客へ直接販売する)新分野への進出は、社員の意識改革から商流まで全く別物で苦労されたと思う。キッチン用品は新規参入し勝つのは非常に難しい市場だが、他社と差別化でき、年間1万枚売り上げているのは素晴らしい」と評価。「ブランド力を蓄え、今後世界へ通用する商品として発信していただきたい。可能性は十分ある」と期待された。

 今回の受賞に佐藤社長は「非常にびっくりした。お客さんと直接つながる、新しい取り組みを評価していただいた」と喜ぶ。数年後には5億円規模の売り上げが目標で、その先に海外進出も見据える。「手軽においしい料理が作れる物がほしいというニーズに応えてきた。まずは国内でのブランド力を高め、北上から世界に通用する製品づくりをしていきたい」と力強く目標を語っている。

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