一関・平泉

地域の教訓つなげる 岩手・宮城内陸地震あす13年 一関工高プロジェクト 生徒が被災地踏査

産女川上流の治山堰堤で厳美5区の佐藤区長(右)から周辺の被害状況を聞く一関工高土木科の生徒

 岩手・宮城内陸地震から13年となるのを前に、県立一関工業高校(佐々木直美校長)の「技術・知識を地域につなげるプロジェクト」などの関係者は12日、一関市厳美町で同地震の被災地踏査を行い、地震の被害の大きさや復旧状況を再確認した。

 2008年6月14日に発生し、大規模土砂災害を引き起こした同地震を後世に伝える方法を探るため企画。同校の生徒が授業で学んだ知識を地域の課題解決に生かす同プロジェクトのほか、厳し美しの里協議会「岩手・宮城内陸地震を後世に伝える」、開発管理技術研究所「デジタルデータの活用」の3事業合同で行われた。事業関係者に加えて地元厳美5~7区の区長と厳美市民センター山谷分館長、いちのせき市民活動センターの職員も同行した。

 同日は、祭畤大橋、市野々原地区の地滑り発生現場、産女川上流の治山堰堤(えんてい)の3カ所と、震源地入り口を見学。祭畤大橋と市野々原地区では同校土木部のプロジェクトメンバー3人がドローン(小型無人飛行機)で被災地を上空から撮影した。

 地震発生当時に南部森林管理署一関森林事務所に勤務し、現在は同協議会理事を務める厳美5区の佐藤雅幸区長は「市野々原地区では、土砂が磐井川をせき止め、鉄砲水になる危険性があったが地元の建設業社が無償で突貫工事をしてくれた」と、1948年に一関を襲ったアイオン台風の経験を生かし、迅速な対応が取られた経緯を説明した。

 同プロジェクト班長の斎藤翔希さん(3年)は「初めてこういう現場でドローンを飛ばせて楽しかったしどきどきした。小さい子供や広い世代に内陸地震について知ってもらい、地域貢献したい」と語った。

 同市民センター山谷分館は、同地震後に仮設住宅として利用された経緯があり、同プロジェクトでは、生徒がドローンで撮影した写真をパネル化して同分館に展示するほか、ハザードマップの作成などを検討。佐藤精分館長は「高校生には期待でいっぱいだ。分館は祭畤や本寺への通過点なので、ぜひここに立ち寄ってもらえるような場所になってほしい」と期待した。

 産女川上流砂防堰堤と震源地ではそれぞれ、国の天然記念物・クマゲラとイヌワシの生態系保護のため、同日は見学のみ行い、後日再踏査する予定。

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