奥州・金ケ崎

仕事で社会貢献を 亀井さん(東北大病院副院長)後輩激励 水沢高110周年講演【奥州】

水沢高創立110年記念講演会で生徒らを前に外科医療の現状と将来を語る亀井さん

 水沢高校の創立110周年記念講演会が15日、奥州市水沢佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれた。講師は、同校OBで東北大大学院教授、東北大学病院副院長の亀井尚さん(55)。亀井さんは、第一線で活躍する立場から外科医の歴史や最新事情などを紹介するとともに、後輩に向けて「医師は大変というイメージがあるかもしれないが、医師になって社会貢献してほしい」と期待を込めて語った。

 同校は2020年度に創立110周年を迎えたが、コロナ禍で式典を中止するなど記念事業を縮小。記念講演会は生徒に還元する企画としてぜひ開催したいとして感染状況などを勘案しながら日程を調整した。

 同市水沢出身の亀井さんは、1985年に同校、91年に東北大医学部を卒業。99年同大大学院医学系研究科を卒業し、医学博士。91年から3年間、磐井病院で外科研修医として勤務した。東北大学病院移植再建内視鏡外科助教、同大大学院先進外科学分野准教授を経て2016年から同大学院消化器外科学分野教授、19年から東北大学病院副院長を務めている。

 同日は全校生徒や教職員、同窓会役員ら約700人が聴講。亀井さんは「日本における外科医療の現状と将来」を演題に、外科医療の起こりから手術器具の進歩などを解説。大学病院の役割として診療、教育、研究があるとし、「研究は医療をつくるもの。治療成績を上げるだけでなく、患者さんの負担を少なくし、生活の質向上を図る」と語った。

 患者の負担を軽減する治療として注目される内視鏡手術や手術用ロボットは、実際の手術映像を見せながら負担を小さくするための技術について詳しく語った。

 また「人工知能(AI)」や「再生医療」「Society5・0」などのキーワードで今後の医療の進展についても解説。特にAIについては「欠かせないもの。診断には非常に好都合なものだ。課題は認識や判断が苦手だということになるが、現在、実用化に向けて大量のデータを集積して解析実験が進められている」と最新の動向を紹介した。

 講演の最後に「医師数は増えているものの、外科医が急激に減っている」とし、「大変だというイメージはあるかもしれない。医大に入って一緒に頑張ってくれる仲間になってほしい。東北へ、そして世界に羽ばたいて社会貢献してほしい」とメッセージを送った。

 また生徒からの質問に答え、「幸せになるのに大事なのは心の持ちよう。仕事をする上でも、仕事を楽しむことが大事だと思う」と語っていた。

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