小さな首振り愛らしく 展勝地、郷土玩具発売 手仕事作家がコラボ 成島和紙の張り子と羊毛【北上】
北上市立花の株式会社展勝地(軽石倫史社長)は、花巻市東和町の成島和紙による張り子と、奥州市江刺産綿羊を使った郷土玩具「くびふり緬羊(めんよう)」を発売した。張り子制作歴58年の大ベテラン澤藤範次郎さん(77)=金ケ崎町六原=と、自家産の羊毛を使ったグッズを手掛ける松島紘子さん(35)=奥州市江刺梁川=が共同制作。本県の手仕事作家2人がともに県産素材を活用してコラボレーションし、小さめのサイズでかわいらしく親しみのある作品に仕上げた。
2人は、同社が管理運営するみちのく民俗村で2021年6、7月に開かれた「岩手のクラフト村」に参加。手工芸品を展示販売したり来場者が手作り体験したりできるイベントで、松島さんの羊毛を活用した作品を見た澤藤さんが「成島和紙の素材感と羊毛がマッチするのでは」と松島さんに共同制作を打診。松島さん一家が経営する放牧地に出向いて撮影、スケッチし張り子で試作品を作った。
成島和紙に加え、首振りのおもりは久慈市の小久慈焼の土を活用。澤藤さんは粘土で原型を作り、和紙をちぎって作り上げた張り子の表面に、松島さんが自家産の羊毛を胴体に付けて完成させた。
作品は、羊の顔が白のポリデールと黒のサフォークの2種類。目などの顔立ちは澤藤さんが描き、松島さんはポリデールの頭に羊毛を乗せてかわいらしさを出した。風やちょっとした振動で首がフリフリする仕掛けで、本物そっくりに愛くるしい姿を見せてくれる。
澤藤さんは「羊の毛が入ったことでイメージ通り、ふんわりと柔らかくいいものができた」と納得の様子。松島さんも「澤藤さんがかわいらしく形を作ってくださったので、よりかわいくなるよう工夫した」と笑顔で語った。ともに、これまで数々の作品を手掛けているが「とても新鮮で新たな発見につながった」と口をそろえる。
「岩手のクラフト村」が縁で手仕事作家が手を携え、新商品につながったことに、仲立ちした展勝地の佐々木叔子企画室長は「世代を超え作り手のエネルギーが表れた作品。岩手の作り手が、オール岩手の素材でコラボした作品をぜひ見てほしい」と勧めている。
くびふり緬羊は4800円(税込み)。北上市の展勝地レストハウスで販売している。