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原敬の声AI再現 システム一般公開 盛岡・記念館

原敬の音声再現システムが完成し、タッチパネル式モニターを操作する関係者

 第19代内閣総理大臣を務め「平民宰相」と呼ばれた盛岡市出身の原敬(1856~1921年)の声をAI(人工知能)を使って再現するシステムが完成し、同市の原敬記念館で一般公開が始まった。

 原の肉声資料は残っておらず、百回忌に合わせた記念事業で実行委員会が県立大と協力。ソフトウェア情報学部の榑松理樹准教授が中心となり再現に向けたシステム開発を進めてきた。

 他人の音声を変化させるボイスチェンジの方法を採用。音声を声色と話し方の二つの要素から成ると捉え、全国の男性首長107人分の顔写真と音声データをAIに学習させて声色を作り、文献などの記録に残る「抑揚がない」「低い声」などといった特徴を話し方に生かす、という手法で原の声を再現した。

 完成したシステムでは、「政治」「生き方」「趣味・嗜好(しこう)」の三つのカテゴリーに、「なぜ総理大臣になろうと思ったか」「好きな食べ物は」など計15項目の質問を用意した。タッチパネル式モニターに映し出された質問に触れると晩年の原の画像が登場し、再現音声で回答する。

 質問は、原と関わりが深い本宮小学校など地元小中学校4校の児童生徒約450人から集めた中から選定し、回答は過去の資料から選び出すなどして原の思いを代弁する仕組み。

 榑松准教授は「データを集めるのは大変だったが、出来としては80点ぐらい。さらに研究を進め、音声再現の質を上げていきたい」と抱負。同記念館の山内昭館長は「落ち着いた声で、人柄や日本の将来を考える原の力量が表れているような気がする」と話している。

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