奥州・金ケ崎

集乳効率化でコスト低減 県南広域クーラーステーション竣工 来月稼働へ 東北生乳販売農協連合会【金ケ崎】

テープカットで岩手県南広域クーラーステーションの完成を祝う関係者

 東北生乳販売農業協同組合連合会(仙台市)が金ケ崎町西根高谷野原地内に建設を進めてきた大型貯乳施設・岩手県南広域クーラーステーションの竣工(しゅんこう)式は27日、現地で行われた。新たな集配乳拠点として、県南地方各市や沿岸など11市町をエリアに集乳を効率化。酪農家の販売コスト低減と出荷の機能強化を進める。4月から稼働する。

 同連合会は農林水産省指定の生乳生産者団体で、生乳の受託販売を手掛けている。本県の生乳生産量は東北地方の約4割を占めトップの一方、県南部では酪農家の減少で各コールドセンター(貯乳施設)が過大化し、老朽化による維持管理コストも課題となっていた。これを受け同連合会は、貯乳施設の統廃合と集乳エリアの再構築を2021年度から実施。酪農の盛んな和光地区がある同町の要望も受け、21年6月から新施設の建設を進めていた。

 同ステーションは当初、県南コールドセンターという仮称だった。鉄骨造り平屋建て、建築面積は約1233平方メートル。30トン貯乳タンクを3基備え、冷蔵や検査などの処理能力は1日当たり100トン。利用する酪農家はエリア内の120戸、乳牛の飼養頭数にして約3000頭に及ぶという。出荷は関東をはじめ中部方面なども見込む。

 総事業費は11億2530万円。国の「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」の補助を受けた。事業の公益性などを考慮し、同町は建設地の町有地を無償で貸し付けている。施設はJA全農いわてが運営する。

 竣工式には約60人が出席。神事の後、関係者によるテープカットが行われた。同連合会の伊藤一成代表理事会長は「施設は非常用電源も備え、災害時の生乳受け入れも可能。安全・安心な生乳の供給に努めていく」とあいさつ。髙橋寛寿町長ら来賓も祝辞を述べた。

 同ステーションの完成に伴う集乳エリアの再構築・広域化により、本県最南部では宮城県北への集乳など、県境をまたいだ集出荷体制に移行している。集約を受けて金ケ崎(同町西根高谷野原)、いわい(一関市大東町摺沢字沼田)、遠野(遠野市青笹町青笹)の各コールドセンターは廃止となる。

地域の記事をもっと読む

奥州・金ケ崎
2024年5月6日付
奥州・金ケ崎
2024年5月6日付
奥州・金ケ崎
2024年5月6日付
奥州・金ケ崎
2024年5月6日付