北上・西和賀

夏油スキー場可能性は 基調講演やパネル討議 北上市がフォーラム

夏油高原スキー場の未来を語る(左から)登内さん、小澤さん、浅川さん、下田さん

 夏油高原スキー場の未来を考えるフォーラム(北上市主催)は27日、同市本石町の日本現代詩歌文学館で開かれた。基調講演やスキー場の取り組み紹介、パネルディスカッションを通じ、同スキー場の魅力や将来の可能性を共に考えた。

 市が所有する同スキー場施設を使用し、2013年から公設民営方式で運営する北日本リゾート(同市)の使用貸借契約期限が23年6月末に迫り、広く将来の方向性を探ろうと開催。会場とオンライン合わせて90人余りが参加した。

 初めに、スキーリゾート先進地の北海道ニセコ町の片山健也町長がオンラインで基調講演。「環境と景観、人々の暮らしぶりが観光地の信頼につながる」とし、水環境保全条例制定や建物の高気密、高断熱化、雪や地中熱を利用した農業施設など環境面を重視したまちづくりを強調した。

 北日本リゾートの菅原三多英代表取締役は、運営当初について「無料券を大量配布し全階層にアプローチしたが、下降トレンドにブレーキをかける程度だった」と振り返り、「林の中を滑る『ツリーラン』と『豪雪』をアピールしたら、コアな層が遠くから目的を持って来るようになった。18年からはインバウンドの取り組みを強化し、雪を求めて海外客も伸びた」と説明。「これからはリフト券収入だけではやっていけない。夏場もキャンプ場を基軸に熱気球などで集客を伸ばしている。外部資本を呼び込み、リゾート化を図りたい」と語り、23年7月以降の貸借契約更新に強い意欲を示した。

 パネルディスカッションでは、フロムゼロ(同市)代表取締役の登内芳也さんをコーディネーターに元市地域おこし協力隊員でコピーライターの小澤政行さん、市トライアスロン協会理事長の浅川進さんがパネリストを務め、ニセコリゾート観光協会代表取締役の下田伸一さんがオンライン出演した。

 夏油の可能性について、下田さんは「観光地に選ばれるには環境面が重要で、維持にはSDGs(持続可能な開発目標)の視点も大事だ。どういう地域にしたいか、多様な産業の人々と話し合いを」と勧め、浅川さんは「夏油のアップダウンは自転車のほかランニングにもいいし、ダムでスイムもできる。トライアスロンにもってこいのコースになり得る」と推奨した。小澤さんは「体験ツアーで地域の事業者とも連携しては。ワーケーションで仕事と休みをうまく町場と夏油で楽しめるようになれば」と提言。登内さんは「いろいろなアイデアを議論していくことが夏油の10年後、20年後につながる」と締めた。

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2024年5月6日付
北上・西和賀
2024年5月6日付
北上・西和賀
2024年5月6日付
北上・西和賀
2024年5月5日付