北上・西和賀

「ドン・キホーテ」多彩に 利根山光人記念美術館 前期企画展 初公開作品も【北上】

利根山光人記念美術館で開催中の企画展「光人とドン・キホーテ」

 北上市立利根山光人記念美術館の2022年度前期企画展「光人とドン・キホーテ」は、同市立花の同館で開かれている。晩年の利根山が制作テーマの一つとして手掛けたドン・キホーテをモチーフとした作品を紹介しており、来館者の関心を誘っている。6月2日まで。

 利根山(1921~94年)は茨城県出身で、メキシコを題材にした情熱的な作品を多く手掛け、「太陽の画家」とも称され世界的に活躍した。72年に県芸術祭の審査員として来県。同市に立ち寄った際に当地の民俗芸能に感銘を受け、74年には市内にアトリエを構えて約20年間にわたって制作を続けた。

 晩年の80~90年代には、戦争シリーズと共に、スペインの作家セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」をモチーフにした作品を数多く描いた。

 今回の企画展では数点の初公開作品のほか、利根山作品の保全・管理を行う一般社団法人アルテトネヤマ(東京都)から貸し出しを受けた作品を含めリトグラフやエッチング、コラージュなど26点を展示している。

 同館専任研究員の菊地仁美さん(58)は「ドン・キホーテに関する利根山作品はほぼ全て紹介している。ロボットのような近代的なものから、憂いを含んだしっとりした作品もあり、よく見ると表情も違っており、見応えのある作品展になっている」とPRしている。

 作品の時代背景については「当時、世界的には湾岸戦争が勃発し、日本はバブル経済に浮かれていた混沌(こんとん)とした時代。小説の主人公に見立てて『自分は筆一本で世の中にもの申す』という思いがあったのでは」とし、「今も社会情勢が不安定であり、作品に込めた利根山のメッセージが強く感じられると思う」と話している。

 開館時間は午前10時~午後4時(入館は3時30分)。入館料は一般300円、高校生120円、小中学生60円。定住自立圏内(北上、奥州、金ケ崎、西和賀各市町)の小中学生は無料となる。

 問い合わせは同館=0197(65)1808=まで。

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