北上・西和賀

新製造棟建設へ 電子部品生産体制強化 TDK北上工場 総投資額500億円

TDKエレクトロニクスファクトリーズ北上工場の新製造棟完成予想図。(既存棟含む、TDK提供)

 TDKは10日、北上市和賀町後藤の後藤野工業団地に立地している子会社・TDKエレクロニクスファクトリーズ(本社秋田県由利本荘市、林隆司社長)北上工場の敷地内に、新製造棟建設を発表した。総投資額は建物、設備関係合わせて約500億円で、3年かけて約400人の雇用を計画。電気自動車(EV)向けなどに需要が急増する電子部品・積層セラミックコンデンサの生産体制強化へ2023年3月に着工し、24年6月竣工(しゅんこう)、同9月の量産開始を目指す。

 EVの世界的普及に自動運転技術、運転支援システムなど自動車の多機能化が進む中、搭載される電子機器、電子部品は増加傾向。さらに小型化、高性能化で機械的強度や高電圧にも耐えられる、信頼性の高い積層セラミックコンデンサのニーズが世界的に急増し、増産が求められていた。

 北上工場は01年に立地。EV製造には欠かせない積層セラミックコンデンサを専門的に製造してきたこれまでの実績に加え、増産体制構築へ急を要する中でインフラ面や人的対応も含め、現工場敷地内への新棟建設を決めた。

 新棟では積層セラミックコンデンサの開発、製造を担う。これまでは国内の別工場で製造した材料を使用していたが、北上工場では材料も製造可能となり、完成品まで一貫生産ラインを構築する。

 新棟は鉄骨造り一部4階建てで、延べ床面積約3万3000平方メートル。既存棟(鉄骨造り平屋建て)より大幅に拡張する。生産能力は、由利本荘市の本社工場と北上工場を合わせた既存施設の1・9倍(20年比)に増強。省エネにも対応し排熱、排気環境も整備し二酸化炭素(CO2)の排出削減を図る。

 総投資額約500億円は、TDKが電子部品生産増強に向けた投資としては過去最大規模。現在の北上工場の従業員は約1100人(契約社員等含む)で、23年度から3年間かけて1500人規模に増員する。北上工場を管轄するTDKエレクトロニクスファクトリーズ秋田・庄内総務部は「電子部品の世界的需要急増に向けた生産体制強化へ幅広く人材を確保し、地域貢献していきたい」としている。

 髙橋敏彦北上市長は「ここで事業強化されるのは非常にうれしいこと。企業の事業が達成できるよう、人材確保にはしっかりと協力していきたい。投資額に対する補助は制度にのっとり、県と一緒にサポートしていく」と歓迎した。

 一方、市内に立地する半導体大手・キオクシア岩手では23年度以降、240人規模での新卒採用を計画。北上雇用対策協議会は各企業の幅広い人材確保に向け対応していくが、地場企業を含めた人材獲得競争は一層激しさを増しそうだ。

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